カイジシリーズは良くも悪くも順番がわかりにくいので、どれから読んだらいいかわからないという方も多いと思います。そんなカイジの1番最初のストーリーにあたるのがこの賭博黙示録カイジです。藤原竜也さん主演で映画化もされたので知っている方も多いと思いますが、圧倒的な緊張感を感じられるマンガの代表作と言っていいでしょう。人間の弱みや心理的な弱点などの洞察力は本当に凄いとしか言いようがありません。
また、扱われているギャンブル内容もわかりやすいものばかりなので、取っ付きやすいという意味でもおすすめです。今後、とんでもない展開へと進むカイジシリーズの先駆け的な立ち位置にある作品ですので、ぜひとも多くの人に読んで欲しいと思います。今回は「賭博黙示録カイジ(全13巻)」の魅力を全力で紹介したいと思います。
賭博黙示録カイジ 第1章「希望の船」を楽しむポイント
賭博黙示録カイジ 第1巻
あらすじ
かつてのバイト仲間である古畑の保証人になってしまったカイジ。ある時、遠藤という男がカイジを訪ね、古畑の借金を返すように迫る。古畑が借りた30万円は法外な利息で膨らんでおり、トータルの金額は385万円に達していた。カイジはそれを返済するためにエスポワール号と呼ばれる船で行われるギャンブルで、この先10年分の借金を1日でチャラにしようと試みる。
「勝てば借金がチャラ、負ければ某所で1年~2年の強制労働」という条件のもと、騙し合いが渦巻くギャンブルの場に身を投じたカイジは果たして借金をチャラにできるのだろうか。
限定ジャンケン
- 参加者全員に「グー・チョキ・パー」それぞれ4枚ずつ、合計12枚のカードと星3つを配る。
- 対戦相手を決め、カード投入口のあるボックスの前に対峙し「チェック」と発声する。
- 「セット」と発声した後、出したいカードをボックス上に伏せた状態で置く。
- 「オープン」という合図の後カードを開き、その結果に応じて、星の移動を行う。賭ける星の数は、対戦相手の同意があれば増やすことが可能。
- 勝負に使用したカードは、その勝負の結果に関わらず、ボックスの中に入れなければならない(1度使用したカードは再度使用できない)。
- ボックス内のカードは集計され、部屋のモニターにて「現在のカード数」を確認することができる。
- カードを使い切る前に星を3つ失ったプレイヤーが出た場合、残りのカードは運営側によって箱に投入されるため、モニターの数値に狂いは生じない。
- 制限時間は4時間とする。
- 星を3つ以上持っていてもカードを使い切れなかった場合、時間終了時に星を2つ以下しか持っていなかった場合、星が3つなくなった場合はいずれも負けとなる。
コミックス1巻
単純にカードを使用してジャンケンをするだけなんですけど、持ち札が12枚と限定されているため限定ジャンケンと呼ばれています。プレイヤーは3つの星(バッジのようなもの)を持っていて、ジャンケンでこれを奪い合うという単純なルールなのですが意外とこれが深いんです。
まず「星を3個以上にしなければならない」というのがポイントで、これは言い換えると「3回連続で負けられない」ということを意味しています。カードは12枚あっても肝心の星が無くなってしまったら誰も勝負してくれませんからね。次に「カードは使い切らなくてはならない」というルールが重くのしかかります。仮に10連勝したとしてもその後で「誰も勝負してくれない」なんて状況が発生したらカードが2枚余って負けてしまうわけです。
誰かをストーキングして「何のカードを使ったか」を四六時中監視していれば、最後の2枚になった時に勝てる(正確には負けない)とは思いますけど制限時間もありますし、現実的に考えても難しいですよね。この中で必勝法を思いつくカイジの思考回路に脱帽です。
マネしたくなるほどの数々の名言
コミックス1巻
カイジシリーズでは数多くの名言が誕生しているのですが、物語の最初からアクセル全開です。上記画像のシーンは物語の序盤中の序盤で個人的にはニヤリとしてしまう場面なのですが、ファンの中では結構有名な場面だと思います。
「なぜオレのクルマがベンツじゃないと知ってる?」
セリフだけ聞いても意味わからないと思いますけど、状況がわかると非常に秀逸なセリフで本当に言い回しが巧みだと思います。気になる方は是非コミックスをチェックしてみてください。
ジャンケンという名の心理戦
コミックス2巻
通常ジャンケンと言ったら確率勝負ですが、今回の限定ジャンケンにおいては星という概念がある以上、何回も負けることは許されません。まして運に身を委ねて3連敗なんてしようものなら、まさに愚の骨頂とも言えるでしょう。限定という名の通り「1度使用したカードは破棄しなくてはならない」という取り決めがもたらす勝利の法則を、あなたは見つけられるでしょうか。
簡単にわかりそうなもんですけど、意外と見つけにくい部分に突破口があるということを実感できると思います。勝負事に限らず人生なんかでも、こういう部分に気付けるか気付けないかで大きく変わるんだろうなぁと。種明かしされたときに「あー、そういうことか!」と気付きを得られる距離感が秀逸です。
騙し・騙されて、裏切りの渦中に
「正直者は馬鹿をみる」という言葉があるように、当然始まるのは騙し合いです。他人と協力し合うことで多くの情報を仕入れることが可能になりますが、それは裏切られたときのリスクを背負うことにも繋がります。時に残酷とも受け取れる人間の裏の顔は本当に恐ろしいものです。不安感の煽りなどは鬼気迫るものがあり、必然的に心拍数が上がるでしょう。
個人的には「カイジの奥底にある紳士的な姿」というか、根っからのクズ人間じゃなさそうな部分が垣間見える瞬間が大好きなんですよね。裏切った人間は見捨てても良さそうなのに、そうしないカイジの姿には何かを思わずにはいられません。
心理戦の極み
コミックス3巻
相手の些細な発言から綻びを見つけたり、運営が定めたルールの隙間をつく戦い方はまさに圧巻の一言です。そんなに難しい話でないにも関わらず、完全に盲点をついてくるのは本当に面白いと思います。相手を土俵に引きずり出すために一芝居打つあたりも策士だなぁと。
残り時間が少なくなっていくに連れて冷静な判断も難しくなってきたときに、多くの人が「自分が勝ち残るためにどうすればいいか」だけを考えるのに対し、カイジは「他人が勝とうとするとき、どのような行動に移るだろうか」という部分まで汲んでいます。
賭博黙示録カイジ 第2章「絶望の城」を楽しむポイント
賭博黙示録カイジ 第6巻
あらすじ
エスポワール号から無事に生還することができたカイジであったが、借金は629万円まで膨れ上がってしまった。ある日また遠藤という男が現れ、再度「借金をチャラにできるギャンブルの話」を持ち掛ける。
前回うまいこと乗せられてギャンブルに参加した挙句、いたずらに負債を増やす結果を迎えてしまったカイジは、当然この話を警戒するが、またもや遠藤の話術に言いくるめられ参加することに。しかし前回のギャンブルとは比べ物にならない、全く違った内容の勝負がカイジを待ち受けていた。
Brave men road(人間競馬)
- 1~12番までのゼッケンを付けた参加者同士で、地上10メートルほどの高さの鉄骨を渡る速さを競う。
- 鉄骨は全てで4本あり、それぞれの番号に割り振られている部分の鉄骨しか渡れない。
- 1位には2000万、2位には1000万。
プレイステーションVRでゲーム化されました。
Eカード
- それぞれ皇帝側と奴隷側に分かれて相手と勝負するカードバトル。
- 皇帝側は市民カード4枚と皇帝カード1枚。奴隷側は市民カード4枚と奴隷カード1枚。力関係は『皇帝>市民>奴隷>皇帝』で、皇帝側は「いかに皇帝をうまく通すか」を考え、奴隷側は「いかに奴隷で皇帝を刺すか」を考える。
- カードを出す順番は「1枚目:皇帝側が出してから奴隷側、2枚目:奴隷側が出してから皇帝側」と交互に変わる。
- 全部で12試合。(3試合毎に皇帝側か奴隷側かが変わる)
- カイジは『目か耳を針が破壊するまでの距離』を賭け、1センチ賭けて勝つ毎に10万円を得る(10センチ賭けて勝てば100万円)。それぞれの器官を破壊するまでの猶予は24センチ。これを超えて負けると、目か耳の賭けた方が破壊されてしまう。
- 圧倒的に勝ちにくい奴隷側で勝てば5倍。
命が賭かったスリリングな展開
Brave men roadでは、渡る鉄骨から落ちてしまうと死すら可能性がある展開です。これまでのギャンブルとは逸脱した展開に息を飲むことになるでしょう。単純に「橋を渡ったもん勝ち」というわかりやすいルールに加えて、それが高所で細い鉄骨という想像しやすい状況設定も見事です。緊迫した雰囲気をひしひしと感じます。
カイジVS利根川
相手の心が読めるという利根川との対決が本作最大の見所だと言っても過言ではないでしょう。心理的な要素はもちろん、カイジが背負うリスクの大きさがスリリングな展開を生むので1秒たりとも目が離せません。「自分だったらこうする」など考えながら読み進めても、カイジの発想には到底辿り着けないことを実感しました。ハッキリ言ってめちゃくちゃ面白いです。
ちなみに利根川はスピンオフ作品で主人公になりギャグマンガの主人公として登場しています。コチラも面白くておすすめです。ただし本編を読んでから手を出すことを推奨(本編とのギャップこそが醍醐味)。
関連:究極のギャグ漫画!カイジ好きにはたまらない『中間管理職トネガワ』の魅力 – はてなの果てに。
カイジVS兵藤
コミックス13巻
帝愛グループのトップとカイジが遂に激突。「勝てば1億、負ければこれまでに得た金2000万円と指4本を失う」という狂気は、もはや計り知れません。この目を瞑ってしまいそうな狂気こそカイジの魅力だと思います。
気になる結果については本編を確認していただきたいと思いますが、まぁ一言で言い表すなら「さすが」と言ったところでしょうか。結果がどのようなカタチでどちらに転ぶのかが全く予想できなかったので、非常に面白かったです。
最後に
賭博黙示録カイジは、まだカイジが一般人に近い頃の話です。今後ありえないほどのリスクを背負い、恐怖を感じるほどの勝負師へとなっていくわけですが、それらをちゃんと楽しむためにはこの賭博黙示録カイジを読まなければ始まりません。
特に第1章の頃のカイジは場数も踏んでおらず、自堕落な生活を続けているだけの若者です。他のマンガと違い「主人公がスーパーマン」ではないのもカイジの魅力の1つと言えるでしょう。スリリングな展開やギャンブルが好きだと言う方には自信を持っておすすめします。まだ賭博黙示録カイジを読んだことがないという方はぜひとも読んでみてください。
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