衝撃を受けたという方も多いかと思いますが、最高裁(2019/03/13)によって、ワンセグ機能付き携帯電話でもNHKとの放送受信契約を結ぶことが義務であるという判決が出ました。
早い話が。これまではNHKの集金人が訪問してきても「テレビはないのでお帰りください」で良かったものが、もう1クッション「ワンセグ機能付きの携帯電話はお持ちで無いですか?」という切り返しがくることになります。
まぁ「実際にワンセグ機能なしのスマホを使っているかどうかの確認はどうやってするのか」などの部分が置き去りになっていて、判決が出されたことによって余計にザルな部分が目立つわけですが…。
一応、備忘録的な意味も含めて、ワンセグ機能付き携帯電話におけるNHK受信料関連のゴタゴタをまとめておこうと思います。
私はテレビを所有しておらず、スマホはiPhoneを使用しており、今のところは毅然とした態度でNHK受信料を支払っていません。
NHK放送受信料に関するあれこれ
現在(2019/03/14)の放送受信料で支払わなくてはならない金額
契約種別 | 支払い区分 | 2か月払額 | 6か月前払額 | 12か月前払額 |
---|---|---|---|---|
衛星契約(地上契約を含む) | 口座・クレジット | 4460円 | 12730円 | 24770円 |
継続振込等 | 4560円 | 13015円 | 25320円 | |
地上契約 | 口座・クレジット | 2520円 | 7190円 | 13990円 |
継続・振込等 | 2620円 | 7475円 | 14545円 |
月々の受信料の金額ですが、地上契約で約1300円、衛星契約で約2300円くらいです。
Huluやネットフリックスで月額1000円くらい、Amazonプライムビデオに至っては月額ワンコイン以下で利用できるということを考えると、個人的には「高すぎじゃない?」という価格設定になっています。
ちなみに衛星契約か地上契約かを選ぶ権利は視聴者側には無く、受信できるかどうかで決まります(イラネッチケーというNHKを映さないフィルターもあるようですが、司法の判断は「外せば映るでしょ?」となるとか、ならないとか)。
1番最悪なパターンは「NHKの衛星放送なんか一切見ないのに、住んでいるアパートやマンション自体が電波を拾ってしまう」という状況でしょう。こういうシチュエーションで不本意ながらも衛星契約を迫られているという人も少なくないようです。
NHKとの契約は義務だが、罰則は無く、支払いも義務ではない
法解釈って見てる分には面白い部分もあるのですが、いざ自分が巻き込まれると相手の言い分が屁理屈に聞こえて、あまり好きじゃないという人も多いのではないでしょうか。
特にNHKの放送法がどうこうというルールは、かなり特殊なルールになっています。
法律なのでテレビという言葉は使っておらず「協会の放送を受信することのできる受信設備」としているあたり、法律に疎い私のような人間からすると面倒な感じもしますが、NHKの受信料を払いたくない人、あるいは払っていない人は、放送法第64条の文面のニュアンスくらいは覚えておくといいです。
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
面倒なので「テレビ」と表現しますが、テレビを持っている人はNHKと契約しなさいという内容の法律です。しかし他の犯罪などとは違って、破ったらどうなるのかという罰則部分には言及していません。もっと言えば「受信料を払いなさい」という法律もありません。
「テレビを持っていればNHKと契約するというのは義務」らしいですが、NHKと契約をすると金を払えとなるのであって、ここで金を払えと言っているのは国ではなくNHKです。
他にこのような例がないので例えられないのですが、本来の法律には「法律を破った(守らなかった)時のルール」があります。「〇〇円以下の罰金」とか「△△年以下の懲役」とかですね。
放送法第六十四条は、このような罰則が設けられていない法律です。「罰則がないから破っても問題ない」とは言いたくありませんが、もし万が一NHKの集金人が「テレビを持っているなら受信料を払うことが法律で決まっている」と言ってきたら、それは嘘です。
放送の受信を目的としない受信設備って何?
放送法第六十四条の文面を読んだ人なら誰でも疑問に思うのではないかと思うのが「放送の受信を目的としない受信設備」です。
これは言葉の通りに受け取るのであれば「ゲーム専用のテレビ、動画配信サービス専用のテレビ、DVD観賞用のテレビ、カーナビ、スマホ」などが該当するような気がするのですが…。
しかし今回の裁判で「ワンセグ機能付き携帯電話=契約の義務あり」となってしまったので、この判例から考えると「ゲーム専用のテレビもアンテナ線を繋いだら見れるでしょ?」と言われて終わりのような気もします。
ちなみにNHKが考える「放送の受信を目的としない受信設備=防犯用のインターホン」だそうです。
ワンセグ機能付き携帯電話の受信料を巡る裁判の一部始終
第一審:1勝4敗
ちなみにワンセグ機能付き携帯電話の受信料を巡る裁判では、実はさいたま地方裁判所で行われた第一審は、ユーザー側が勝っています(残念ながらこれ以降は負けてしまったわけですが)。
この時は「ワンセグ機能付き携帯電話は携帯であって、受信設備の設置には該当しない」というのと「あくまで携帯電話であるからNHKの放送の受信を目的としていない」という2つのアプローチをしています。
※ただしこの段階で、大阪や水戸などの別の地方裁判所で行われた同様の裁判では負けていたので、あくまで法解釈という面から行くと「ワンセグ=NHKとの契約が義務」というのが妥当なんじゃないかと言う不穏な空気が流れていたのも事実です。
第二審、最高裁ではNHKが勝訴=事実上の「ワンセグ機能付き携帯電話=NHKとの契約が義務」へ
そして第二審以降は「放送法の『設置』という文言には携帯型の受信機を持ち歩く場合も含まれる」とされ、残念ながら「ワンセグの機能が付いた携帯電話を所持していれば、受信契約の義務がある」という判決が確定してしまいました。
ワンセグもテレビも受信料は一緒?
ここで気になるのは「受信料」の問題です。
私はワンセグと呼ばれるものに触れたことが無いので、衛星放送が受信できるのかどうかは分かりませんが、地上契約だとすれば月々1300円程度の月額料金が発生するということになります。
家でNHKを見ている人にとっては問題ないものの「家ではNHKを見ておらず、ワンセグが映る携帯電話を持っているせいで月々1300円ほどの料金を請求される」となれば、大半の人は不満に思うのでは?
個人的には「ワンセグが映るだけで金払え!」もやり過ぎだと思っていますが、せめて妥協案として「受信料の優劣は設けるべきでは?」と思います。
ちなみに私は格安スマホと呼ばれる区分でiPhoneを月々1500円くらいで所有していますが、これが3000円くらいになるってことじゃないですか?結構やり過ぎだと思いますけどね。
スマホのワンセグが義務なら、車に搭載されているカーナビなども義務になるのでは?
カーナビはまだ裁判で争っているのかな?いずれにしてもスマホに搭載されているワンセグが受信設備の設置だと言われてしまう世の中ですから、カーナビもそれに該当するような気がしますけど。
ちなみにカーナビに関しては、地方で映らないというユーザーに対して「都会に来れば映るでしょ?」というくらいの切り返しで支払いを求めているようなので、正攻法でNHKとやり合うには厳しいでしょう。
NHKの受信料を支払わなければどうなる?
テレビの有無ってどうやって確認してるの?
私はNHKの受信料を払っていません。使用しているスマホはiPhoneでワンセグ機能はありませんし、カーナビも搭載していないです。
ですが、NHKの集金人に対しては居留守を使っています。理由は「面倒くさいから」です。別に見られてやましいものは一切ありませんが、なぜそこまで協力しなきゃいけないのかも分かりませんし。
だから実際に言われたというわけではありませんが、仮に「受信料払ってください→テレビもワンセグもカーナビもないです→じゃあ部屋にテレビがないかどうかや、スマホを確認させてもらってもいいですか?」となったとして、皆さんがそれに応じているのかという部分は非常に気になります。
私はいい年のオッサンですし、見た目的にもむしろNHKの集金人が「家を見せろ!」とは言ってきにくい側の人間だと思っていますが、一人暮らしの女性とか学生さんだと怖いんじゃないかと思いますが…。
それに嘘をつくのは良くないと思いながらも、そもそも集金人に対してテレビの有無を確認する術があるのかどうかは非常に気になるところです。
ワンセグ機能付きの携帯電話やテレビを買う際に契約を義務にしたら?
NHKの集金人って、NHKがお金を払って雇っていると思うんですが、それもいわば受信料から出ているお金じゃないですか?
そんなもんは金輪際やめて、もうテレビを買う時とかワンセグ機能付きの携帯電話を買う時に契約を義務化したらどうでしょうか?そしたらメーカー側もワンセグ機能無しの携帯電話を作ると思いますよ。それにNHK集金人に支払っている報酬も不要になるしWin-Winです。
現状は国産スマホだとワンセグ機能が抱き合わせになっていることが多いのではないかと思います(ちょっと詳しくないので断言はできないですけど)。
せめてユーザーに選ぶ権利があればいいんですけどね。スクランブル放送が無理なら、NHKが映らないテレビとか販売してくれればいいんですけど、それは特許の関係で難しいらしいので、せめてワンセグ機能の有無くらいはユーザー側に選択肢があってもいいのでは?
個人的にはこうなった以上、国産スマホが売れなくなって日本製のスマホを作っている企業が大打撃を受け、その矛先がNHKに向けば面白いなぁと思っています。
パトカーとか消防車、救急車ってワンセグ機能付いてないの?
ちょっと売り言葉に買い言葉のような感じになってしまうかもしれませんが、ホテルなんかでは1部屋1部屋にテレビがあって、NHKはそれぞれの部屋で受信料を払えと言っています。
じゃあパトカーなんかに搭載されているカーナビのワンセグ機能に対しても、1台1台に受信料を負担させているのかどうかという部分は、非常に気になるところです。
もうさ、ここまでするなら最低限のニュースとか災害情報だけにして税金で対応したら?個別でコンテンツ作りたいなら見たい人から受信料募って大河ドラマでも紅白歌合戦でも好きにやってよ。
最後に
個人的にはワンセグで受信料を払えと言われても無風ですが、やはり今回の判決は面白くないです。
そのうちNHKはネットでも配信を始めると言っているので、こうなったらテレビの時みたいに「じゃあネット捨てるわ」ということはできませんからね。
甲子園の時期くらいはNHKに受信料を払ってもいいかなと思いますが、そのために年間25000円(私のアパートでテレビを持てば衛星契約になるため)を払うかと言えば、それも厳しいですし。
「保育園落ちた、日本〇ね」じゃないけど、冷静になって考えてみると日本は別の意味ですごい国なのかもしれません。