「給湯器は家の中に設置した方が長持ちする」は間違い

給湯器は家の中に設置した方が長持ち! 実は屋内も屋外も変わらない

給湯器の買い替え案内をしていると「外に設置していると長持ちしないんじゃない?」という声をよく聞きます。そして「洗面所を広く使いたいから外に設置したいけど、すぐ壊れてしまうのが不安」という方も少なくありません。

現に屋外型給湯器を採用した場合、給湯器本体の周りを簡易的な小屋状態になるように囲ったりする施工業者は多いです。しかし全部が全部そうではありませんが、ほとんどが杞憂であり無駄な場合が多いと言えるでしょう。

基本的に屋外型給湯器は雨風にさらされる前提で設計されています。簡単には雨水が侵入しないような設計になっていますし、経年劣化でもなければ単なる雨風では簡単には錆びません。ただ「囲った方が長持ちする=屋内用の方が長持ちする」というイメージを持っている人は意外にも多いようでした。

そこで今回は、給湯器は家の中に設置した方が長持ちするという勘違いについてご紹介します。

目次

給湯器の種類

屋内設置型or屋外設置型

  • 屋内型⇔屋外型
  • 壁掛け型⇔床置き型
  • ガス⇔石油

住宅設備関係の仕事に従事していない限り「自分の家の給湯器のことしかわからない」という人がほとんどだと思います。もしかしたら「自分の家の給湯器がどこのメーカーなのかも分からない」という人もいるかもしれません。

もしあなたのお家の給湯器が洗面所に設置されているのであれば、ほとんどのお家もそうだと思ってしまいがちですが、実はボイラーには屋内タイプと屋外タイプがあるんです。そしてそれぞれに床置きタイプと壁掛けタイプが存在しています。

それぞれにメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いということはありませんし、最終的には好みの問題と言ってもいいでしょう。後述していますが「屋内タイプにするか屋外タイプにするかを自分で決めて注文した」という人以外は、お家を建てる際の大工さんが「いいと判断した方」で設置されているというケースが多いです。

最初に何が取り付けられたか

「お家を建てる際に細かな打ち合わせをして、生活設備に関するありとあらゆる注文をした」という方はこの限りではありませんが、ほとんどの方は「お家を建てる業者が何を選定したか」で決められた場合がほとんどです。

「ただでさえ狭い洗面所に設置するくらいなら外に設置してくれれば良かったのに!」と思う人がいたとすれば、それは何かしらの原因(仕入れ値や配管の取り回しなどetc)で大工さんが屋内タイプを選定したということになります。

もしかすると「屋内タイプの方が長持ちする」と思って選んだ場合もあるかもしれませんし、あるいは「取引き先のメーカーがキャンペーンをしていて普段よりも安く入手できた」など理由は様々だと思います。

そしてほとんどの方は「最初に取り付けられたのが屋内タイプなら、その後の買い替えについてもずっと屋内タイプのボイラーを選択することになる」でしょう。床置きタイプと壁掛けタイプについても同様です。

屋内⇔屋外の特徴まとめ

  • 外装部が傷みにくい⇔傷みやすい
  • 不具合に気付けることが多い⇔気付きにくい
  • 配管が凍りにくい⇔凍りやすい(雪国限定)
  • 音が気になる⇔気にならない(石油機器限定)
  • 家の中のスペースを取る⇔取らない
  • 煙突が必要⇔必要ない

水漏れなどにいち早く気付けるのは屋内型給湯器の利点

それぞれ相反するメリット・デメリットです。この中で大きいのは初期の不具合に気付けるかどうかくらいでしょうか。洗面所に給湯器があれば、水漏れや異音にいち早く気付ける可能性があるという部分は大きなメリットです(ボイラー部屋に設置されている場合は屋外と大差ないと思いますが)。

給湯器が外に設置されている場合だと、人によってはまったく見に行くことがありません。水漏れなどの不具合に関する初期状態に気付けないことが多く、お湯が使用できなくなってから不具合に気付くということが少なくありません。もし早く気付いていれば1~2万円で直せた修理が、最終的に5万円以上の修理になってしまうという例も多いです。

設置費用、ランニングコストは大差なし

雪国の場合は給湯器が屋外に設置されていると配管が凍らないような配慮が必要になり、凍結予防ヒータの設置などで諸経費がかかることがあります。ただし屋外用だと煙突代がかからないので、取り付け費用及び本体価格は屋外タイプの方が安くなる場合が多いでしょう。

一方で煙突は一回施工したらそれまでですが、凍結予防ヒーターの場合は常に電気代が発生します。単にヒーターを巻いているだけだと電気代が結構かかってしまうので、節電器などの導入がおすすめです。これらを踏まえると、設置費用やランニングコストは大差ないような気がします。

外装部の傷みやすさと給湯器の寿命は直結しない

給湯器の故障

前項で外装部の傷みやすさに言及し、屋外型は外装部が傷みやすくて、屋内型は外装部が傷みにくいと書きました。「じゃあ屋内型の方が長持ちするんじゃないの?」と思うかもしれませんが、これは傷みやすいかどうかについて言及しているだけであって、給湯器の寿命にはあまり関係ありません。

確かに屋外設置の給湯器は、屋内設置の給湯器に比べると錆びやすいです。でも雨水が侵入するほど錆びてしまう例はあまりありません。海沿いのお家で塩害がすごい場合は外装部がボロボロになってしまうケースもありますが、一般的な設置環境でそこまで錆びてしまうことはあまりないです。

結局外装部がボロボロになっても、中に雨水が侵入しなければ給湯器の故障にはつながらないので、そこまで神経質に考える必要はありません。

確かに10年以上が経過している屋外型給湯器の外装部はボロボロだったりもしますが、そもそも給湯器自体の耐用年数が10年程度を目安に作られているので、屋外型も屋内型も10年以上使用する前提では設計されていません。

屋外型給湯器を雨風から守るための囲いは不要

NORITZ - 波板などで屋外設置形ガス給湯機器を囲わないでください。
NORITZ – 波板などで屋外設置形ガス給湯機器を囲わないでください。

ここが一番重要なんですが、タイトルにもあるように給湯器は家の中に設置した方が長持ちするという勘違いがあるから、外設置のボイラーを囲いたがるんだと思うんです。

ちゃんとわかっている施工業者であれば、お客さんが不安がる気持ちを先読みしての対応である可能性(囲いは不要だと理解していてもお客さんを安心させるためにあえて設置している場合)もありますが、何も知らない施工業者の場合だと「変な囲い方をしたせいで不完全燃焼に繋がる」ということが結構あります。

この場合は使用して1年以内でも、施工不良による不具合により有償修理(お金が掛かる修理)です。当然ながらお客さんからすれば「1年で壊れたんだから保証期間でしょ!?」という気持ちだと思うので、施工業者が費用を持つパターンが多いですが、中には施工業者がお客さんを言いくるめる場合も無いわけではありません。

あとはお客さん自身がDIY好きで、囲いを手作りするパターンも多いです。基本的に屋外に設置するつもりでメーカーも設計していますから、そのまま設置すればいいです。変に囲う必要はありません。

雪国設置で落雪の影響を受ける場合については、給湯器に直接当たったり排気口が雪によって塞がれないような工夫は必要なので注意してください。

「給湯器は家の中に設置した方が長持ちする」は間違い まとめ

今回は「給湯器の寿命は屋内も屋外も関係ない」という話でしたが、それぞれにメリット・デメリットがあるので、現状で大きな不満がなければ変える必要はないでしょう。もし「少しでも洗面所を広く使いたいのに給湯器が邪魔」という場合については、屋外型への変更を検討してみてもいいと思います。

確かに外置きだと雨風にさらされるため外観の痛みは顕著に出てしまいますが、海沿いなどでもない限りは十分持つので心配無用です。もし「ボロボロになるのが気になるから何とかしたい」というのであればステンレス外装の機器を選定してもいいでしょうし、排気がこもらないように注意してガードをしてもいいと思います。

あまりに立派に囲ってしまうと修理する人が大変な思いをすることになり、修理の際に別途料金が発生してしまうことが考えられるのであまりおすすめはできません。どうしてもという場合は、そのあたりのリスクを踏まえたうえで囲うようにしましょう。

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