2003年～2008年頃まで週刊ヤングサンデーにて連載されていた「クロサギ」ですが、現代日本の時代背景と非常にマッチしていてとても面白い作品です。いわゆる「詐欺」をテーマに取り扱っているマンガで、今や「いつ詐欺に遭ってもおかしくない」くらいの時代ですから、面白いだけではなく勉強になるというのも大きな魅力の一つだと言っていいでしょう。
かなり前の作品にはなりますが読み返してみたところやはり面白かったので、今回はまだクロサギの世界を知らないという人に向けて「クロサギ(全20巻)」の魅力について紹介したいと思います。
クロサギってどんなマンガ？
シロサギ：人を騙して金銭を巻き上げる詐欺師
アカサギ：異性を餌として心と体を弄ぶ詐欺師
クロサギ：シロサギやアカサギのみを相手にする詐欺師
世の中には3種類の詐欺師がいるそうで、本作の主人公である黒崎はタイトルにもあるように「クロサギ」です。いわゆる義賊にも似た存在で、簡単に言うと「詐欺師をハメる詐欺師」ということですね。基本的な流れとしては詐欺に遭った善良な一般市民から事情を聞いた黒崎がカモのフリをして詐欺師に近付き、逆に詐欺に陥れるという一連の流れが描かれています。
また黒崎の父親は詐欺に遭ったことで追い詰められ一家心中を図った過去があり、たまたま生き残ることができた黒崎が「世の中の詐欺師を憎んでいる」という設定です。黒崎は自身の父親を嵌めた詐欺師に報復することを目的としていますが、果たしてその詐欺師の元に辿り着けるのでしょうか。
クロサギを楽しむポイント
詐欺の手口が勉強になる
コミックス1巻
読んでいるだけで詐欺の勉強になるのが本作の大きな魅力です。「あー、こういう手口なのね！」と思える話ばかりで、実際に引っ掛かったら目も当てられませんけど読んでいて普通に面白いです。難しいものからわかりやすいものまで多種多彩な手口が明らかになっています。
恐らく実際にあった手口を紹介してるんだとは思いますが本当にリアリティに溢れるものが多いので、詐欺に対する免疫を付けるのにもピッタリではないでしょうか。詐欺に遭わないためには詐欺の手口を知っておくことが重要ですから、騙されやすいという自負のある人には特におすすめです。
最後に待っている爽快感
コミックス2巻
元々は善良な一般市民を騙している悪人たちです。いい気になって黒崎を嵌めようとしているところを倍返しされている様子は、見ていて非常に大きな爽快感をもたらしてくれるでしょう。テレビでスッキリバラエティという番組が放送されていますが、スッキリ度合いはその比じゃないと思います。
その見せ方も非常に上手く書かれていて、途中までは黒崎が嵌められているような雰囲気を演出しながらも、詐欺師が異変に気付いた時には既に遅いっていう流れのテンポが良いです。したり顔で騙していたつもりが実は騙されてたっていうんですから、天罰が下った様子を見ているようで心地良いんですよね。前項でも紹介しましたが実に色んな種類の詐欺が登場するので、それに対する対処法のレパートリーも豊富でマンガとは言いながらも「上手くやるなぁ」と感心してしまうほど。
主人公・黒崎の復讐劇の結末
コミックス1巻
黒崎は父親を嵌めた詐欺師に復讐をするために詐欺師になりました。実際に父親を嵌めた詐欺師の名前は知っていて、その男を探して世の中のシロサギを虱潰しにしています。本作の一番の見所は「黒崎の復讐劇がどのような結末を辿るか」という部分だと言っていいでしょう。
実は黒崎に仕事を紹介したりシロサギの情報を与えている人物は黒崎の父親を売った人物でもあり、それも黒崎は知っています。知っていながらも泳がされているフリをしているんだとしたら、その熱意は相当なものだと思いませんか？
普段は冷静な黒崎も父親を嵌めた詐欺師の話になると冷静さに欠くシーンが多く見られ、彼の思いが相当なものだということも伺えるので読者としてはぜひ上手くいくことを願うのですが、その詐欺師も相当な手練れということが判明します。一筋縄ではいかない相手に黒崎がどのように立ち向かっていくのかにも注目して読んでみてください。
最後に
個人的には「騙し合い」や「心理戦・頭脳戦」がテーマになっているマンガが大好きなので、このクロサギは何回も読んでいます。中身はもちろん面白いんですが何よりテーマが秀逸な作品です。
悪人に天罰がくだるという一連の流れが好きな人、騙し合いをテーマにしたマンガが好きな人、知識になりそうなマンガを求めている人…色んな人におすすめします。興味のある人はぜひチェックしてみてください。
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