ちょっとマニアックなシミュレーションゲームが好きなんですが、世界観に一気に興味が沸いた「HEADLINER: NOVINEWS(ヘッドライナー:ノヴィニュース)」をご紹介します。
簡単に言うと新聞社の編集長になって、新聞に掲載する記事を自分で選ぶというゲームなんですが、ここで選んだ記事によって世界が変わるっていうのがめちゃくちゃ面白いです。もし購入を検討している方がいたら、ぜひ参考にしてください。
物語本編に関するネタバレはなるべくしないように配慮しています。一部スクリーンショット等があるので、軽微なネタバレも気にする方はブラウザバック推奨です。
ヘッドライナー:ノヴィニュースってどんなゲーム?
- PS4、switch、Steamで2019年に発売
- ジャンル:アドベンチャー、インディー、シミュレーション
- Steamでセール時なら1420円の約40%値引きで購入可能
新聞社の編集長になって、上がってきた記事の採用・不採用を自分の判断で行うことが出来るゲームです。ネットニュースを見ていても色んな記事がアップされていますが、人々の目に触れるニュースを自分の一存で決めることができます。
例えば政府の政策に対して好意的な記事と批判的な記事があったときに、批判的な記事を選べば世論もそうなっていくという感じです。このあたりは割と単純で、簡単に世論を操作することができます。
リアリティはないものの、いろんなジャンル(政治、治安、趣向品、薬など)にパラメータが用意されていて、それぞれのパラメータでストーリーが変わるのが非常に面白い作品です。
ヘッドライナー:ノヴィニュースの面白い点
自分の思い通りに世論を操作できる
物事には何でも賛否両論があって、現実的には少数派に回ってしまうというケースも少なくありません。例えば「NHKは必要か否か」みたいなテーマがあったときに、月々2000円払ってでも存続させる価値があると考える人もいることでしょう。
こういう状況のときにNHKに対する批判的な記事ばかりを掲載することで、民衆の暴動を煽ったりすることができます。当然このゲーム内にNHKの概念はありませんが、政治・治安・趣向品・薬みたいなテーマで展開することが可能です。
実際にある問題で言えば大麻合法化でも賛否あるでしょうし、町中に監視カメラを設置するって言っても「犯罪者が検挙されやすくなる」っていう人もいれば「プライバシーが侵害される」という人もいるでしょう。このゲームではこれらの判断を自分が下せます。
一国民として政治家の判断に対して「どうしてそうなるの?」と思うことって多々あるじゃないですか?そういうもどかしさが一切なく、自分の思うように世論を操作できるのは爽快感が抜群です。
世界観が少し暗めで興味深い
世論を操作するって言っても、この国自体がかなり特殊な国になっています。それこそ近隣国との関係性も特殊だし、国民全体の貧富の差みたいなものもあって、物語はかなり暗めです。
特に陰謀論みたいなものが好きな人には非常におすすめの展開で、政府が行っている政策には裏があるという情報が入ってきたときに、それを報道するかどうかで物語が大きく変わったりします。
政府に批判的な記事ばかりを掲載すると、どこかの国みたいに逮捕される展開もあったり、ある商品をコキ下ろすとスポンサー料がなくなって給料が下がったり…。「あちらを立てればこちらが立たず」という展開が非常にクセになるゲームと言っていいでしょう。
報道する正義と報道しない正義
私たちが普段から見ているテレビや新聞、ネットニュースなんかも色んな大人の事情が混じり込んでいて、ただし情報ばかりではありません。テレビ番組によっても都合の悪いニュースは取り扱わないとか、かなりあるんじゃないでしょうか。
本作でもそういう部分が見え隠れしていて、実際にそれを体感することができます。スポンサーの商品について悪口が言いにくかったり、あるいは「あえて首を突っ込まないほうがいい問題」も少なくありません。
例えば犯人がまだ捕まっていない事件の報道をする場合、具体的な報道をしてしまうと逃亡中の犯人に情報を与えてしまうこともあるわけで、口を噤んだ方がいいケースも出てきたりします。このあたりは良くできているなぁと感心しました。
ヘッドライナー:ノヴィニュースのイマイチな点
周回前提なのにテンポが悪い
- 採用する記事、却下する記事を選ぶ
- 退社して家に帰るまでの道中、自分が選んだ記事によって世の中がどうなったかを見ながら家に帰る
- 帰宅したら一日を振り返ったりして寝る(1に戻る)
1回のプレイが上記の1~3を2週間繰り返してどうなるかっていうゲーム性で、周回プレイが前提の作りになっています。
で、サウンドノベルなんかだと1回読んだ選択肢はスキップできる機能があったりするんですが、このゲームにはそういう配慮が一切なく、さらには文字速度を倍にしても遅いです。2回ボタンを押せばスキップできるものの、なんとかならなかったのかなぁという感じが否めません。
あとは自分が選んだ選択肢によって世界がどう動いたかを見るのが一番面白い部分なのに、一度見たものをもう一度やるのは面倒以外の何物でもありませんでした。
新聞社から家までの距離もそこそこあって、途中に吹き出しのあるキャラがいたら会話できるという感じなのですが、会話のテンポが悪いこともあって「一度見た選択肢なら話しかけたくない(けど既読かどうかの判断が難しい)」みたいな部分があります。ゆえに実績100%(もしくはトロコン)を達成したら二度とやらないタイプのゲームです。
飽きるのが早い(後半は作業に近い)
上記はプレイデータの一つです。例えば一番上の「私はテロと戦った」に関して言えば、戦ったか逃げ出したかっていう結果の他にも幾つかの要素があったりします。これを全部見るのはかなりしんどいし面倒です。
2回~3回プレイして満足っていうプレイヤーであれば、満腹感もそこそこに楽しいまま終わることができると思います。しかし、もし実績をコンプリートしようと思っているとか、すべての選択肢を確認しないと気が済まないみたいな部分があるなら、4回目くらいのプレイから一気に苦行になるでしょう。
私はSteamセール時に800円くらいで購入したので、これくらいの金額だったらむしろ楽しめた方だと思っていますが、さっきAmazonを覗いたらSwitch版が2,500円くらいしたので、これだとちょっとおすすめできないかなぁというクオリティでした。楽しいのは最初の5時間くらいでしょうか。トロコンは10時間くらいで可能です。
ヘッドライナー:ノヴィニュース のまとめ
- 自分の思い通りに世の中を動かしてみたいという人におすすめ
- サクッとプレイして、少し遊べればいいという人なら楽しめる
- 1000円くらいなら全然あり
- トロコン、実績目的なら難しくはないけど少し苦痛
私は11時間ほどプレイしましたが、後半はもうトロフィー目的の惰性でプレイしていました。最初の1回は「あ、そういうことか!」という掴みになって、2回目と3回目のプレイはめちゃくちゃ面白かったです。それ以降はもう飽きてしまいました。
編集長になるっていう世界観が唯一無二なので、そこに魅力を感じたという人ならSteamのセール時にプレイしてみるのもアリではないでしょうか。PS4版も安かったので、気になる人は触ってみるのもいいと思います。最初の3回目までは面白いです。