毎日お仕事で忙しい方の中には「昼食は家から手作りお弁当を持参している」という方も多いと思います。外食だと金銭的な負担も大きいですし、お店自体が混んでてなかなか食べられないということも少なくありません。その点、お弁当であれば好きな時に食べられますし、便利ですよね。
他にも、ご家族で山や海を始めとするレジャー施設等に出掛ける際や、お子さんの遠足や学校で食べるためのお弁当を作っているという方も多いことでしょう。安上がりなだけでなく、自分で食材が選べる安心感も得られますし、作る際の手間さえ除けば最良の方法だと思います。
しかし、外気温が暑くなってくると特に注意しなければならないのが『食中毒』です。お昼用のお弁当を家から持参する場合、作るのは朝ですが食べるのは数時間後のお昼になってしまいます。環境によっては冷蔵庫に入れて保管するということが出来ないという方も多いのではないでしょうか。
というわけで今回は『夏場のお弁当作りに気を付けたいポイント』のご紹介です。
食中毒の原因
- 食品そのものが持つ菌が死滅しなかった場合
- 調理工程で菌が付いてしまった場合
- 食事段階で菌が口を介して感染してしまった場合
食中毒については様々な要因があるため一概には言えませんが、主に上記の3つになります。お弁当作りをするうえで注意しなければならないのが「食材の菌を死滅させること」と「菌を増やさないこと」です。
そういった基本をおさえたうえで、食べる側が手洗いなどにより「新たに菌を付けないこと」を徹底することで、食中毒を防ぐことが可能になるでしょう。
主な細菌の種類
黄色ブドウ球菌
人の皮膚、鼻や口の中にいる菌です。ちょっとした拍子に触れたニキビなどから感染に繋がる恐れがあるため、お弁当の代表格『おにぎり』などに発生しやすい菌と言えるでしょう。
特に注意しなければならないのが、この菌は熱に強いということです。加熱した後に手作業している場合も多いため、1度毒素ができてしまうと加熱しても食中毒を防ぐことができません。そのため、いかにして調理中に菌を付着させないかが重要です。
O-157
腸管出血性大腸菌と呼ばれる菌のうち、最も話題になり有名なのがO-157ではないでしょうか。十分に加熱されいない肉、よく洗っていない野菜、井戸水などが原因であることが多いです。
症状が重くなると死亡者も出てしまうほどの菌ですが、十分に加熱することで防ぐことが可能です。
ノロウイルス
こちらも集団感染する例をよく聞きますが、主に生ガキなど十分に加熱していない二枚貝(アサリ、シジミ、ハマグリなど)からの感染が多いようです。
そして、予防策としては加熱するのはもちろんですが、さらに注意しなくてはならないのが二次感染だと思います。全員が全員、生の二枚貝から感染するというよりも、人から人への感染で爆発的に増えるパターンが多いのではないでしょうか。
サルモネラ菌
十分に加熱していない卵、肉、魚が原因となります。お弁当において最も多い原因を作っていそうなのは、オムレツや卵焼きでしょうか。とろふわの半熟感にこだわることで十分な加熱がされていない場合、注意が必要です。
それから、お弁当の場合はあまり無いとは思いますが、生卵の持ち運びはやめましょう。
腸炎ビブリオ菌
生の魚や貝などが原因になるため、最も多い感染源は刺身やお寿司です。
夏場の手作りお弁当に刺身を入れる場合はあまりないとは思いますが、スーパーなどで買ったお弁当を食べる際には、早めに食べることをオススメします。
カンピロバクター
十分に加熱されていない肉や飲料水、生野菜などが原因となります。特に多いのが鶏肉及びその内臓肉のようです。少量の菌数で感染が成立してしまうため、5歳以下の幼児の場合はペットから感染してしまうケースもあり、注意しなければなりません。
カンピロバクターは低温に強く、4℃でも長期間生存するため、冷蔵庫を過信しすぎないことも重要です。低温には強いですが加熱には弱いので、しっかりと加熱することで防ぐことができるでしょう。
食中毒の対策
手をしっかり洗う
食材に関してどうこう言う前に、調理前や食事前はもちろん、生肉を触った後なんかも手を洗った方がいいと思います。サッと水で流すだけでは落ちない菌も多いので、ちゃんとした手洗いを心がけることが重要です。
以下の記事にて『風邪予防』の観点から、正しい手洗い方法について記述しています。しっかりした手洗いというのは時間がかかるものですが、意味のない手洗いをしないためにも心得ておきたい部分ですね。
【関連記事】
風邪をひかないための基本的な予防と対策法について – はてなの果てに。
食材はしっかり加熱する
基本中の基本ですが、食材については『しっかり加熱すること』が最も効果的です。ほとんどの菌が熱に弱いため、これ以上ない対応策だと思います。
ハムやソーセージなどの調理済みのおかずに関しても、再加熱するのが無難と言えるでしょう。
なるべく水分が出ないようにする
温かいご飯やおかずをそのままお弁当箱に詰めてしまうと、食べるときになってフタ裏にびっしり水滴が付いていることがあるかと思います。
この水分が細菌にとって非常に心地よい環境を生み出していることはご存知でしょうか。
時間の経過と共に菌が増殖してしまう恐れがあるため、冷やした状態でお弁当に詰め、食べる直前に電子レンジで温めるのが望ましいです。
素手で触らない
おかずに菜箸などを使うのはもちろん、おにぎりを作る際はラップ越しに握るのがいいです。
上の方でも述べましたが、黄色ブドウ球菌は熱に強く、そもそも付着させないことが重要なので、いくら手を洗っているとはいえ、素手でベタベタ触るという行為は、あまり好ましいものではありません。
特に、小さいお子様用に作る機会が多い『キャラ弁』に関しては、細かな盛り付けが必要になることが多いと思いますが、素手で触れてしまうと菌が付着し、時間の経過と共に増殖する危険性があるため注意してください。
菜箸にも使いやすいものが幾つか存在するので、そういうアイテムを使ってみるのもいいかもしれません。
容器にも気を遣う
お弁当箱や箸もしっかりお手入れするよう心がけてください。単に食器用洗剤で洗うだけでなく、お弁当箱の材質にもよりますが煮沸消毒するのが望ましいです。時間があるときは、漂白剤に浸けておくことも効果的でしょう。
もちろん調理器具やキッチン自体も清潔にしておくことが重要です。せっかく様々なことに気を遣っていても「まな板に雑菌が繁殖していた!」なんてことにならないように注意してください。
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食中毒にならない為に注意!まな板を清潔に保つ方法 – はてなの果てに。
意外に盲点!?食中毒を防ぐためにキッチンスポンジを清潔に保つ方法 – はてなの果てに。
ワンポイントアドバイス
酢を使う
掃除用や除菌用のスプレーなどにも使われているくらい『酢』の抗菌効果は高いです。ご飯を炊くときに、お米3合に対し小さじ1杯程度で十分な効果を発揮してくれますし、味も変わらないのでオススメです。
お弁当箱にご飯やおかずを詰める前に、酢で軽く一拭きするのも効果的ですよ。酢独特の香りや風味が苦手だと言う方には『りんご酢』が使いやすくてオススメです。
水気の出にくいおかずを選ぶ
水分が菌にとって快適な環境を作ってしまうのであれば、お昼は生野菜を摂らないという選択肢を持ってもいいのではないでしょうか。
使いやすい部分のおかずとしては『揚げ物』や『炒め物』は使い勝手が良く、暑い時期のスタミナアップにも最適です。昼は野菜ジュースで補うなどの工夫をし、朝と夜に野菜を摂るようにカバーしてあげましょう。
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濃縮還元の正体!野菜ジュースで野菜の栄養は摂れるのか – はてなの果てに。
おかずに梅干しを使用する
梅干しには制菌作用と呼ばれる「ご飯の腐敗を防ぐ機能」があります。その効果は非常に高く、食中毒になってから食べても、応急処置として効果的だと言われているくらいです。
実際には、梅干しを入れただけでお弁当内の菌を死滅することは難しいと思いますが、食べた後の胃の中で効果が見込めるので「梅干しが苦手ではない」という方は是非とも実践するようにしましょう。
↓で紹介している『昔ながらの田舎梅干』ですが、無添加で作られていて非常に美味しいです。食べたことが無いと言う方はぜひ食べてみてください。
保冷材を使う
現場に出なければならないような仕事をしている方や学生の方の場合、お弁当を冷蔵庫に保管するということが難しいというケースも往々にしてあると思います。そんな時には『保冷材』を使用するのが望ましいです。
ランチバッグには保冷材を常備できるスペースが設けられているものも存在するので、それを上手く使うのも1つでしょう。
一晩寝かせたカレーにも注意
これに関しては夏場だけの話ではなく、むしろ年中通して警戒しなくてはならない問題なのですが、カレーは一晩寝かせると美味しいと言われていますよね?
これは、野菜などが煮込まれることによって旨み成分が出るということが科学的に立証されていて、確かに美味しくなるというのは事実なんですけど、その裏では食中毒のリスクも発生しています。
カレーは夏場の食欲がない時でもモリモリ食べられるスーパー料理です。衛生面には十分に注意を払って食べましょう。
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最後に
暑い時期はただでさえ体調を崩しがちです。栄養補給の源である『食』の部分で、体調を壊してしまうなんてことは是非とも避けなければなりません。
少しの工夫を取り入れるだけで、お弁当による食中毒は防ぐことが可能です。今回紹介したものは、すべて簡単に取り入れられるものばかりですので、宜しければ試してみてください。