昔からよく「ブルーベリーは目にイイ」とか「ブルーベリーには視力を回復させる効果がある」などという話を聞いたことがあるのですが、果たして医学的な根拠はあるのでしょうか。というのも、私はこれまで十数年もの間『ブルーベリージャム』を好んで食べてきていますが、視力が良くなったという実感は一切ありません。
まぁそこまで信じているわけではなく、単純に味が好きで食べているという部分も大きいのですが、趣味がパソコンやゲームということもあり、眼精疲労に対するアンテナを張っているので、ブルーベリー系のサプリメントなんかも飲んでいます。決して安い金額ではありませんし、もし効果が無いのであれば飲むのを止めようかと思っていました。
そして今回、ふとしたことがキッカケで「ブルーベリーが視力を回復させるというのは嘘なんじゃないか!?」という疑念を抱くことになったので、私なりにその答えを導き出したいと思います。
Googleで検索してみた
そもそもの始まり
そもそも今になって「なんでブルーベリーについての真偽が気になったか」については、たまたま美味しいブルーベリージャムを探そうと思って「ブルーベリー」と検索してのが始まりでした。
今の検索エンジンってすごく優秀で、何かのワードを調べようとすると「もしかしてコレを探してませんか?」という打診をしてくれるんですよね。例えば「ジャム」とか「ガム」とか、よく調べられているワードを予測してくれるという機能があります。
そこに「ブルーベリー 目」という検索ワードが出てきたので「もしかすると目に優しいブルーベリー商品がわかるかもしれない!」と思って、すぐさまそれをクリックしてみたのがキッカケです。そこには、ちょっとした驚きと発見がありました。
検索してみた
「ブルーベリー 目」と入れて検索してみると、1番調べられている検索キーワードが「ブルーベリー 目 嘘」だったんです。せめて「目にいい」がトップに来てくれていたら良かったのに、嘘がトップだなんて・・・。
私としては、ブルーベリーの効力を完全に信じているというよりは「ないよりはあった方がイイ!」というレベルのものだと思っていて、それこそ「トマトが老化防止にイイ!」とか「玉ねぎが血液をサラサラにしてくれる!」とか、そういう話だと思っていたんですけど、さすがに嘘って言われちゃうと気になりますよね。
というわけで、正しいことばかりが書かれているネットではありませんが、少し本気を出して調べてみることにしました!
ブルーベリーが目にイイとされている理由
視力回復説1:パイロットがそう言っていた
調べていて真っ先に出てきたのは、戦時中の空軍パイロットが「ブルーベリーを食べてるんだけど、夜間飛行の調子も抜群だぜ!」というような証言をしたという情報でした。ただし、幾つものサイトでこの情報が取り沙汰されている割に「ここの情報機関が言うには~」というような情報の出所が明かされていないのが気になるんですよね。
例えば、日本に住んでいれば「野菜を350g食べなさい」という文言を聞いたことがあると思います。これは言うまでもなく厚生労働省が発表しているから私たちも理解しているのであって、これについても「野菜なら何でもいいのか!」などの意見が出たり、言ってることがコロコロ変わったりこそするものの、情報の出所という意味では信憑性があると言えます。
しかし、パイロットが云々というエピソードを書いているサイトのほとんどが「~と言ったそうです」って書いてるんですよ。すべてのサイトで何処からの情報なのかが明記されていなかったので、下手すると都市伝説(デマ)という可能性も捨てきれないと思います。
※色々と情報を調べていたらソースと思われる情報を発見しましたが、そこにも「出所は不明」と明記されていたので、当ブログでは「パイロットに関するエピソードの信憑性は低い」と判断しました。
視力回復説2:『アントシアニン』が目にイイ
「ブルーベリーが目にイイというよりは、ブルーベリーに含まれている『アントシアニン』が目にイイので、その作用で視力が回復する」という説があるようです。ただし、Wikipedia情報によると「薬理作用は完全には解明されておらず、日本ではアントシアニンを薬効成分とした医薬品も認可されていない」とのことでした。
これは「実際にそういう効果はあるんだけど、それを証明するのが難しい」というレベルの話なのか、あるいは「あくまで推測の域を出ない」という程度のものなのかで、だいぶ話が変わってきますよね。とは言いつつも、パイロットの一説よりは遥に信憑性があるので、こちらを少し掘り下げていこうと思います。
アントシアニンについて
アントシアニンとは
アントシアニン(英: anthocyanin)は、植物界において広く存在する色素、アントシアン(英: anthocyan、果実や花の赤、青、紫を示す水溶性色素の総称)のうち、アントシアニジン(英: anthocyanidin)がアグリコンとして糖や糖鎖と結びついた配糖体成分のこと。 高等植物では普遍的な物質であり、花や果実の色の表現に役立っている。フラボノイドの一種で、抗酸化物質として知られる。
なにやら難しいことが書かれていましたが、とりあえず「色素として大きな役割を担っている」ということと「抗酸化作用を持っている」ということがわかりました。
色素の方はさて置き、抗酸化作用を持っているのであれば、それこそ眼精疲労の回復に一躍買っていてもおかしくないと思うんですけど・・・。「疲労は回復するけど、視力は回復しない」とかそういうことなのかな?少し詳しく調べてみましょう。
色素としてのアントシアニン
すみれ色に由来
いわゆる「すみれ色」がアントシアニンが持つ色だそうで、確かにブルーベリーっぽい色をしています。これを見た時に「じゃあナスは?ブドウは?プルーンは?」と思ったら、それぞれ「アントシアニンを含む植物の例」として取り上げられていました。
こうやって聞くと「あー、じゃあブルーベリーが最も多くのアントシアニンを含んでいる植物なのね!」って思うじゃないですか?調べたら驚愕の事実が発覚したんです。
アントシアニンの含有率
http://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/to-noken/DB/DATA/060/060-225.pdf
「ナツハゼ」と「ビルベリー」というブルーベリーの仲間が奮闘している割に、肝心のブルーベリーが載っていないという不思議。「どういうこと?」と思ったら、どうやらブルーベリーのブランドで「ブルーベリー・シャープブルー」や「ブルーベリー・ブルークロップ」などの品種があるようです。これらを総称して『ブルーベリー』と呼んでいるようですね。
じゃあ「ブルーベリーが目にイイ」というよりも「ビルベリーが目にイイ」とした方がいいのではないでしょうか?ほとんどの種類がビルベリーの半分にも満たない含有量ですし・・・。
「じゃあ私が食べていたブルーベリージャムはブルークロップで、それゆえに視力回復の兆しが無かったのでは?」とも思いました。でも肝心のビルベリーが「高すぎて買えない!」というレベルの代物である可能性もあるので、一応調べてみたいと思います。
ビルベリーとは
ビルベリー類は育てるのが極めて難しく、ゆえにほとんど栽培されていない。
ビルベリーはブルーベリーよりも柔く、汁気が多く、輸送が困難である。これらの要素のため、ビルベリーは市場などで生の状態でのみ入手可能である。
俗に、「眼精疲労や近視に良い」等といわれているが、人体に対しての薬効については信頼に値する報告は無い。
ビルベリーは、抗酸化作用を有するものもあるフラボノイド類のよい供給源として認識されている。
気になる部分を抜粋しましたが、基本的に日本では栽培されていない植物のようで、試しにAmazonで検索もしてみましたが、手に入るのはサプリメントばかりでした。
しかもビルベリーにも種類が色々あって、中には全くアントシアニンを含まない品種もあったとのことなので、これはますます怪しい結果だと言わざるを得ません。
よくわからないのが「抗酸化作用はある」としながらも「人体に対しての薬効については信頼に値する報告は無い」という部分です。血行促進効果や抗酸化作用は持っているとされながらも、眼精疲労の回復や視力の回復とは結びつかないとされているのは何となく理解できますけど、血行が改善されるのであれば何かしらの薬効が認められても良さそうですけどね。
抗酸化作用としてのアントシアニン
抗酸化作用とは、読んで字のごとく「酸化に抗う」という意味だと思うのですが、まぁ『酸化』と聞いて人体にとって良いイメージは全く湧かないですよね。『活性酸素』とかも聞きますし、金属が錆び付くのだって酸化ですし・・・。
なにより『アンチエイジング』なんかを語る上で抗酸化作用というワードは飛び交ってますから、なんとなくですけど「酸化は美容にも悪そう」という印象があります。
もしアントシアニンの抗酸化作用が高いのだとすれば、視力が回復するというのは眉唾だったとしても、身体にプラスに働く要素はいくつかありそうです。
一説によると「筋疲労を抑制する」という実験結果( 「プロアントシアニジンの機能性解明と開発」参照)も得られているそうですから、視力回復とまではいかなくても「目にとってプラスに働きかける要素はある」と言えなくもないのではないでしょうか。
結論
結局のところ「目にイイの?それとも意味ないの?」という部分については「デマと判断するほどのデタラメな感じはしないものの、かと言って真実だと言えるほどの要素もない」という身も蓋もない言い方をせざるを得ない結果に落ち着きました。
人体と言うのは不思議なもので『プラシーボ効果』なんてものも認められているくらいですから、現時点で嘘だと断言してしまうのも違うような気がします。
「視力」は、その日のコンディションなどで多少変わってくるという事項からも、かなり疲労の影響を受けやすいと思うので「ブルーベリーによる疲労回復効果が目に作用しないとも言い切れないんじゃないかなぁ」と思いますけど・・・。
かと言って「みるみる視力が良くなる」というものでは無さそうなので、適度に付き合っていくのが良いのかなぁと思いました。
最後に
医学の分野は常に発展しているので、そのうち明確にされることが予想されますが、少なくとも「身体に良くないもの」でないことは間違いなさそうなので、抗酸化作用が認められているだけでも摂取する価値はあるような気がします。なにより疑いながら摂るよりも、信じながら摂った方がイイと思いませんか?
結論こそ微妙な感じになってしまいましたが、私は色んなことを調べることで勉強にもなったので、とりあえず今後もサプリメントを摂っていくつもりです。
というわけで今回はこれにて終わりたいと思います。以上、『「ブルーベリーで視力が回復する」というのは本当なのか嘘なのか徹底的に調べてみた』でした。