手に汗握る頭脳戦、ギャンブルが魅力のマンガ「嘘喰い」ですが、今思うと1番最初の賭け郎が介入したギャンブルは「生きてビルを脱出する」という、ギャンブルからはかなり遠い内容のものでした。
内容自体は随所に嘘喰いならではの心理戦・頭脳戦が用いられているシーンが多いとは言いつつ、本作の中では極めてイレギュラーな勝負だったと言えるでしょう。最初から最後まで暴力全開の対決で、今考えても「嘘喰いの価値は薄かった」ように思うのに、なぜか圧勝したんですよね。
個人的には、この戦いは嘘喰いの中で考えるとあまり好きではないのですが、中には「ちょっとしたデスゲームっぽさやサバイバル感が好きだ」という人もいるのではないでしょうか。そういう人には「金と銀をオススメしたい!」と思い立ったので、今回はそれについて書いていきたいと思います。
VS 九重Q太郎の概要
嘘喰い 1巻
「貘と梶の2人がビルから生きて脱出できるかどうか」というギャンブルです(・・・ギャンブルなのか?)。一見すると頭脳戦が介入する部分は少ないように思えますが、嘘喰いらしい立ち回りというか、単純に逃げ回るだけで終わっていないという点は、非常に面白みがあると思いました。
ビル内には数々のトラップが用意されているうえに、銃や暗視スコープを所持している手下が襲ってきます。この時点では貘と梶は丸腰で、両者ともに体力に自信があるタイプでもないので、ハッキリ言って「過剰演出だなぁ」と思う人も多いのではないでしょうか。私もそう思った読者の1人です。
ロデム強すぎ
嘘喰い 2巻
だってサブマシンガンを避けまくるんですよ?そんな奴に嘘喰いと梶が勝てるとは思わないんですよね(結果的には勝ちますが)。個人的には、マルコがこの時に嘘喰いの手のひらの上で転がったという事実が、後のマルコの強さに抱く疑問に繋がっていると言っても過言ではありません。
言ってみれば、嘘喰いはビル内を軽く走っただけでも息切れしているくらいの人物で、かたや残像が見えるくらいの「お前、天下一武道会とか出れんじゃねーの?」くらいの実力者なわけです。
現在では40巻を超えている大作になった嘘喰いですが、唯一と言っていいくらいの不満点は、この戦いのパワーバランスですね。
もちろん面白いポイントも
軽くケチを付けたようなカタチになっていますが、もちろん嘘喰いが大好きな私にとって「しいて言えば、この話はイマイチ」という程度で、普通に考えたら面白いんです。
わかりやすく言うと、「アイドルグループに所属しているコは、その中では冴えなくても一般人と比べたら相当なレベル」というような感じですかね。・・・逆にわかりづらいか。
例えば作中の「思い込み、決め付けを全否定する場面」は、読んでいて「なるほどなぁ」と思わされたので、『廃ビル脱出勝負』の中にも面白いポイントは多々あります。
具体例としては「入口の数本のトラップを解除しておくことで、奥の通路のトラップも解除されていると敵に思い込ませた」という心理操作ですね。更に、あえて手持ちの銃を床に置いておくことで、敵の油断を誘ったりしている部分はメチャクチャ面白いなと思いました。
「銀と金」のすすめ
「廃ビル脱出勝負」=「神威編」
もし嘘喰いの「廃ビル脱出勝負」における、なんとも言えない恐怖やスリルが好きだという人がいれば、「銀と金」という作品の神威編が超オススメです。というのも、初めて嘘喰いを読んだときに「どっかで似たような話を読んだ記憶がある」と感じたんですよね。それが「銀と金」という作品の一幕だったというわけです。
神威編というのは、銀と金に収録されている数々のエピソードの中の1つで、簡単に説明すると「後継者争いを賭けた血みどろの戦いに巻き込まれて、完全に命を狙われている監禁状態から、なんとか逃げ出そうとするエピソード」になっています。
自分たちを始末しにくる敵に対し、秀逸な駆け引きでもって撃退を試みるという点は、両作品ともにかなりの見応えがあると言えるでしょう。
どちらかと言えば、嘘喰いの方はハッピーエンドであるのに対し、銀と金はバッドエンドのような感じがしますが、手に汗握る感覚という意味ではかなり近い部分があるので、「廃ビル脱出勝負」がお気に入りだという人は、ぜひ銀と金も読んでみて欲しいですね。
ギャンブル好きにもオススメ
「銀と金」の作者はカイジを手掛けたことでも有名な福本氏の作品なので、ギャンブルが好きだという人にはハマるんじゃないかと思います。たぶん嘘喰いが好きな人ならカイジも好きな人が多いと思いますので、銀と金も好きになる人が多いでしょう。
前項で紹介している「神威編」は物語で言えば後半に当たりますが、前半部分もかなり見ごたえのある頭脳戦・ギャンブル勝負になっているので、まだ読んだことがないという人はぜひ読んでみて欲しいです。
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最後に
マンガを読むのが大好きな読者、特に心理戦や頭脳戦を描いたマンガが好きな読者であれば、どちらの作品も読んだことがあるという人も多いかと思いますが、ある程度若い読者なんかだと「嘘喰いは大好きだけど、銀と金は知らない」という人も多いんじゃないかと思います。
私自身、絵で結構判断してしまって、よほど面白そうだとか人から猛プッシュされている作品でもない限りは、すこし絵の古いマンガには手を出しにくいと考えちゃうんですよね。そういう人には私が猛プッシュします!
嘘喰いが好きな方、特に「廃ビル脱出勝負」が好きだという人は、ぜひ「銀と金」を読んでみてください。超オススメです。