ダークで暗い世界観が面白い!おすすめの大人向けマンガを紹介する

ダークで暗い世界観が面白い! おすすめの大人向けマンガを紹介する

みなさんはバッドエンドを迎えるマンガは嫌いですか?マンガで描かれるのは「仲間との友情」や「正義は勝つ」と言った内容ばかりではありません。裏切りや裏社会などの、いわゆるアンダーグラウンドな世界を描いたマンガも数多く存在します。中には「怖いもの見たさでついつい読んでしまう」という人も少なくないのではないでしょうか。

今回は情景が暗いストーリーであったり読んでいて憂鬱になってしまう場面があったりする、決してハッピーエンドとかいかないようなダークな世界観を持っている面白いマンガの数々から新作や名作を織り交ぜ、私が面白かったと思うものを厳選してご紹介します。

目次

九条の大罪

法とモラルの極限ドラマ、開幕! 国民的ダークヒーロー漫画『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平、最新作! なぜか厄介な案件ばかりを引き受ける弁護士・九条間人(くじょうたいざ)。鼻炎持ちのバツイチで、ビルの屋上で テント生活をしている偏屈な弁護士だ。主な顧客は、半グレ、ヤクザ、前科持ちなど、きな臭い人だらけ!? ネットでは悪徳弁護士と罵られながらも、イソ弁の烏丸(からすま)と共に、依頼人の擁護に務める。ある日、飲酒して轢き逃げをした半グレが、先輩の壬生に連れられて、九条のもとを訪ねる。そこで九条が授けた策は、弁護士にはあるまじき教唆で――!? 交通事故ひとつですら、常識がひっくり返る。知ってるだけで、人生が変わる。神か悪魔か弁護士・九条! 法とモラルの極限ドラマ、ここに開幕!

モラル度外視で被告人の利益になるように全力を尽くす敏腕弁護士の物語です。被告人からすれば敏腕弁護士ですが、遺族や被害者たちからすれば悪徳弁護士といったところでしょう。

飲酒運転の末に人を轢いてしまった犯罪者に対して自首を促すんですが「サウナで汗を流してから」とか「スマホは失くしたことにしろ」などのアドバイスを送り、挙句の果てに被害者の供述があると厄介だということから「被害者は死んでた方がいい」とまで言う始末。常識だと思っていたようなことが、法廷ではことごとく覆される様子が超面白いマンガです。

九条の大罪
Ⓒ九条の大罪

マイホームヒーロー

頼れる妻と、ちょっと反抗期気味だけど可愛い高校生の娘。鳥栖哲雄の人生はそれなりに幸せだった。娘の顔に殴打の傷を見つけるまでは。「100万の命の上に俺は立っている」の山川直輝、「サイコメトラー」「でぶせん」の朝基まさしの異色コンビが描く、罪と罰、愛と戦いの物語、開幕!

父親が大活躍するという意味では素晴らしいタイトルだと思いますが、本作の主人公でもある一家の父親はなんと殺人を犯します。娘に命の危機が迫っていることを危惧した父親は娘の彼氏を殺害。そして妻と一緒に死体を隠す算段を進めるという、本格サスペンスも驚きの展開なんですよね。

結果、疑いをかけられて組織から狙われ…とてんやわんやの状態になっていくのですが、これほどまでに読者を惹き込むマンガがあったろうかと思うくらい夢中になって読んでいます。スリル溢れる展開やハラハラする展開が好きな人には文句無しにおすすめです。

マイホームヒーロー
Ⓒマイホームヒーロー

じゃあ、君の代わりに殺そうか?

絶望的なイジメの日々から僕を解放してくれた君…。だけど、君が現れてから新たなる地獄の日々がはじまったんだ…。ねえ、君は一体、何者なの……? 信じられるのは誰…? 戦慄の親友サスペンス!!

いじめられっ子の主人公に対して救いの手を差し伸べてくれた人物がいて、その人物と仲良くなって知れば知るほど深みにハマるという感じのサスペンス作品です。深みというのは地獄と表現したほうが近いかもしれません。

もし自分の親友が酷いいじめに遭っていたとして、そのいじめを止めたり、先生とか大人に頼るっていう選択肢はあっても「親友の代わりに自分が相手を殺してやる」っていう発想はヤバいでしょ。百歩譲って親友ならまだ分かるとして、本作の場合は友人と呼ぶのにもまだ付き合いの浅い人間です。

きっと何かしらの目的があって接近してきたことは明白で、それは殺人を冒してでも近付いてくるほど価値があるってことなのかも…なんて思ってたら一気に引き込まれてしまいます。グロ注意です。

じゃあ、君の代わりに殺そうか?
ⓒじゃあ、君の代わりに殺そうか?

ギフト±

鈴原環は女子高生にして狩りのプロ。その標的は、人…! 更正を期待出来ない犯罪者と、その肉体を必要とする患者。需要と供給が一致した時、少女の“仕事”が始まる! 鬼才・ナガテユカが渾身の筆致で問う命の価値とは!? 日本の地下社会で極秘裏に行われる“臓器売買”の闇に迫る衝撃作!!

単にグロいだけでなく単に暗いだけでもない…。れっきとした考えさせられる漫画というのも珍しいと思いました。簡単に言うと「臓器売買をテーマに進められる非常にハードな切り口の漫画」です。更生の見込みがない犯罪者、あるいは命の価値を知らない若者から半ば強引に臓器を奪い取り、それを必要とする人へと与えます。

「殺人ではなく解体」という無機質な言葉の裏には、非常に大きな問題があるような気がしてなりません。単なる残酷な描写では終わらず、その先に待つものが何なのか…結末が非常に気になる漫画です。同時にそれを読んで何を考えさせられるのかまでが、この作品なんだと思います。

ギフト±
Ⓒギフト±

死役所

お客様は仏様です。此岸と彼岸の境界に存在する、死役所。ここには、自殺、他殺、病死、事故死……すべての死者が訪れる。罪無き者は、天国へ。罪深き者は、地獄へ。あるいは――。“助けたこと、後悔してるんです。…こんなことを考えてる、自分が嫌で…”命を棄ててまで、守りたいものはありますか?魂抉る死者との対話、待望の第1巻。

この世を去った人間が「天国に行くか、それとも地獄に行くか」のような手続きをするための役所である死役所の日常が描かれています。そこにはイジメを苦に自殺した人もいれば殺されてしまった人もおり、それぞれの人生にもスポットが当たるのですが言葉では語れない奥深さのようなものを感じるんですよね。

「世にも奇妙な物語」のようなストーリーが好きだという人は間違いなくハマると思います。ダークな世界観を描いている漫画には珍しく、絵が可愛らしいのも特徴です。

死役所 第1巻

地獄の教頭

ごく普通の平和な学校に見える県立朱地高等学校だが…内情は不良教師、イジメ問題、モンスターペアレントなど放っておけば重大事件になりかねない問題が山積みであった。そんな学校に新たに教頭として赴任した近衛修文(このえ おさふみ)52歳。この物語は、近衛教頭が時に狂気的とも思える覚悟を胸に、様々な問題に立ち向かう生き様を鮮烈に描いたハードボイルド学園ドラマである。

教師や生徒、PTA役員などで不届きものがいると、なんかしらのカタチで制裁を加える教頭先生が主人公の漫画です。学校を題材にした作品は感動する傾向が多いように感じますが、本作にはそのような要素はほとんどありません。

普段は非常に温厚で生徒たちには用務員と間違われてしまうという悩みすら抱えている主人公は、問題児やモンスターペアレントと対峙すると本性を現します。ダークヒーローのような魅力を持っていて、その姿には恐怖を覚えるほど。因果応報の流れが好きな人なら思いっきり楽しめる作品です。

地獄の教頭
Ⓒ地獄の教頭

ザ・ファブル(全22巻)

“寓話”と呼ばれし、風変わりな“殺しの天才”が、この町の片隅にひっそりと棲んでいる──。殺しのプロとして“一般人”になりきれ! 野蛮で、滑稽な、大阪DAYS。『ナニワトモアレ』&『なにわ友あれ』の南勝久、銃撃最新作!!!

殺しのプロと呼ばれているファブルが、しばらく本業を休んでいる間の日常を描いた作品です。殺し屋の日常とか見たことないじゃないですか?てか殺し屋を見たこともないけど。殺し屋と聞くとグロ&バイオレンスを想像しがちですが、本作はギャグも多く取り入れられていて思わずクスリとさせられてしまう場面も少なくありません。

良い意味で緊張感が無く一度読んだら「殺し屋のマンガなのに終始殺伐とした空気で進まない」という部分にも新鮮味を感じることでしょう。ギャグやシリアスな場面が訪れても世界観が壊れておらず、勢いで読まされてしまう作品です。

ザ・ファブル
Ⓒザ・ファブル

約束のネバーランド(全20巻)

母と慕う彼女は親ではない。共に暮らす彼らは兄弟ではない。エマ・ノーマン・レイの三人はこの小さな孤児院で幸せな毎日を送っていた。しかし、彼らの日常はある日突然終わりを告げた。真実を知った彼らを待つ運命とは…!?

この世界観はまさに圧倒的。舞台は普通の孤児院かと思いきや実はそれは偽りの姿で、人間を育成するための飼育場だったというものです。一定の条件を満たしたものは食料として出荷されるという、一種の死刑宣告にも似た殺伐とした空気が読者を支配します。脱獄モノが好きな人なら鉄板と言っていいでしょう。

そしてスリルと心理戦がハンパ無いです。ありきたりですが主人公3人の個性&関係性もスパイスとなっていて、更には大人たちの思惑なんかも複雑に絡み合っています。かなり読み応えのある作品だと思いますし、間違いなく神作品。

関連:残酷と希望の架け橋的な「約束のネバーランド」が面白すぎるッ!!

不能犯(全12巻)

数々の変死事件現場にあらわれる謎の男・宇相吹正。しかし、誰も彼の犯行を証明することができない。人は彼を、犯罪を実証することができない容疑者「不能犯」と呼ぶ…。憎悪、嫉妬、欲望そして愛……宇相吹は依頼人の歪んだ思いに応え、次々と人を殺めていく…。戦慄のサイコサスペンス開演!!

例えば「ただのビタミン剤を飲ませてそれを相手が勝手に毒薬だと思い込んで死んでしまった場合、それを毒薬だと思わせた人間は罪に問われるかどうか」という非常に不思議な世界観を持っているお話です。

毎回死者が出るので決して気分のいい物語ではありませんが、どこか気になってしまう魅力に溢れている作品なんですよね。読み進めていくとどうしても「ワンパターンだな・・・」と思ってしまう部分はありますが、着眼点といい非常に興味深く読み進められる作品です。

関連:松坂桃李、沢尻エリカ主演の実写映画「不能犯」を見た感想・レビュー【ネタバレなし】

不能犯
Ⓒ 不能犯

闇金ウシジマくん(全46巻)

オモテの金融機関に見捨てられた、哀れなヤツらの人生にトドメを刺す――闇金融の世界に生きるダークヒーロー、ここに誕生!!丑嶋のもとを毎朝9時に訪れる「奴隷くん」と呼ばれる人々。それはパチンコ依存症の主婦たちのことで、丑嶋は彼女らに3万円の現金と引き換えに5万円の借用書にサインさせる。あらかじめ金利・手数料2万円を引いた上、1日3割もの暴利を課しているにも拘わらず、今日も彼の会社には哀れな訪問者が引きも切らない。

いまや読んだことはなくても作品名も知らないという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。金融業にまつわるあれこれを、残酷なまでにリアルに描いているというのが人気の秘密と言っていいでしょう。

「世の中は奪い合いだ」と言い放ち、ドライなまでに回収を遂行するその姿は鬼と見間違うほど。当然、借りる側も自業自得とは思うのですが、丑嶋のインパクトのある取り立て方には恐怖すら覚えます。

この世の中の裏側を描いたダークな世界観は病みつきになってしまうこと間違いありません。裏社会を描いた漫画の金字塔とも言える闇金ウシジマくんは必見の価値ありです。

闇金ウシジマくん
Ⓒ闇金ウシジマくん

進撃の巨人(全34巻)

手足をもがれ、餌と成り果てようと、人類は巨人に挑む!!巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の戦いが始まってしまう。――震える手で、それでもあなたはページを捲る。超大作アクション誕生!これが21世紀の王道少年漫画だ!!

話題になりまくってから遅れて読み始めましたが、斬新な世界観に一気に引き込まれてしまいました。「あー、流行るのわかるわぁ」というのが最初に持った正直な感想です。弱肉強食という言葉を借りると人間より上の存在が出てきたというような話になるので、世界観は非常に暗く、少年誌で連載しているというのが信じられない位です。

残虐なシーンも少なくありませんが、目を覆いたくなるほどではないのでグロ耐性がなくても平気でしょう。私のように読まず嫌いをするのは非常に勿体無い作品だと思いました。

進撃の巨人
Ⓒ進撃の巨人

シマウマ(全22巻)

俺は知らなかった……この世の中には奴隷や家畜……それ以下の世界がある事を……始まりは、一通のメールの着信だった。そこに添付されていたのは、原型の崩れた仲間の顔と抜き取られた二対のアバラ骨……。小遣い稼ぎの美人局でヤクザを引っ掛けてしまった事から、タツオの日常は転がるように暗闇へと堕ちていく!『シマウマ』とは、いったい何者なのか!?

「依頼主から希望された報復行為を代行する」という、いかにもアンダーグラウンドな回収屋と呼ばれるシゴトをすることになったドラという男とその組織のボスであるシマウマの物語です。絶対に読んではいけない漫画という名文句を謳った作品で、そのダークすぎる世界観は折り紙付きと言えるでしょう。

マンガとは言え、軽率に読んでしまうと憂鬱になってしまうような描写が数多くあります。目を背けたくなる残酷なシーンが多々出てくるので万人受けはしないし読む人を選ぶ作品なのは間違いありませんが、怖いもの見たさでのめり込んでしまうという人も多そうです。

関連:「シマウマ」って漫画が色々と裏社会すぎてトラウマになりそう

シマウマ
Ⓒシマウマ

新宿セブン(全12巻)

著:観月昴, 著:奥道則
¥584 (2024/12/04 02:55時点 | Amazon調べ)

新宿歌舞伎町――。東洋一の歓楽街と呼ばれるこの街に、誰もが一目置く男がいた。ヤクザでも、愚連隊でも、刑事でも、社長でもない一般人。だが街の誰もが認め恐れる、歌舞伎町の“顔”。その男の職業とは何と…!? 「カブキの不動」のコンビが放つ、新たな歌舞伎町伝説が開幕!!

新宿歌舞伎町で質屋を営む男が主人公の物語です。客の大半がワケありで様々な商品を持ち込んでくるのですが、それらを中立の立場からしっかり鑑定していきます。

危険な目に遭うのは日常茶飯事で、ヤクザや詐欺師などと接することもしばしば。非現実的な内容ですが主人公が義賊のような立場で描かれていることもあり、エピソードの最後にはスッキリとした終わり方が多いのが特徴です。鑑定の判断基準なんかは見ていて勉強になる部分も多く、ちょっとした雑学が身につく…かも。

新宿セブン 第1巻

狭い世界のアイデンティティー(全5巻)

この腐りきった漫画業界の中で、漫画家としてのし上がるには、漫画力だけは足りない…暴の力で漫画業界を邁進せよ。

漫画業界を卑屈な目線で見たバイオレンスな作品です。漫画家の人が描く漫画業界の作品と言えば、締め切りや打ち切りに対する不満は軽く滲ませるものの、基本的には描く喜びとか超大作を仕上げる希望みたいなものが描かれていることが多いのですが、本作は通常のそれらとは全然違います。

よくわからない暴力が渦巻いていたりして狂っている感が凄まじいですね。主人公が復讐のために漫画を描いているというのも面白い材料だと思います。

狭い世界のアイデンティティー 第1巻

外道の歌

書店も電子書籍も超話題の売れ筋コミック「善悪の屑」の第2部! 法で裁けない屑には屑による直接制裁を! 復讐代行人の一人「カモ」の過去が遂に明らかに!? 残酷でも読み終えた後にスッキリする本当の「正義」の意味を問う問題作!

本作では「何もしない警察に変わって理不尽にも痛めつけられた被害者に変わり、主人公らが復讐という名の制裁を与える」ということをテーマに話が進んでいきます。「復讐なんてしちゃいけない」という言い分はごもっともですが、幼い子供の命を不条理に奪われた場合、復讐の2文字が頭に一瞬たりともよぎらない親が果たしてどのくらいいるでしょうか。

胸クソ悪くなるシーンが連続しながらも、最終的には何だかスッキリしたような気になるという因果応報系の漫画です。個人的には前作の「善悪の屑」の方が好きだけどkindle版があるのはこっち。

関連:現代版の復讐劇が見たいなら「外道の歌」が爽快かも

報復刑

もし報復が可能になったら? しかも合法的に。死刑制度が廃止され、そのかわりに『報復刑』という新法案が成立した日本。中学生の息子をバットで撲殺された父、夫の局部を包丁で切り取られ惨殺された妻、長年連れ添った糟糠の妻をおもしろ半分に殺された老人。彼らの叫び、怒り、悲しみ、が『報復刑』によって犯人につきつけられる時、どんな衝撃が生まれるのか?

こちらも復讐をテーマにした作品で、死刑制度が廃止された代わりに報復刑という制度が導入された日本を舞台に描かれています。言うまでもなくリアリティはありませんし結構グロいです。身内を殺された被害者が国の制度に基づいて犯人に復讐することが許されているのですが、そのテーマからも分かるようにかなり重いストーリーになっていると言えるでしょう。

前項で紹介した外道の歌系統の話が好きならおすすめ。個人的には「家族を殺された仕返しに殺してやりました、チャンチャン」という一辺倒じゃない部分は嫌いじゃないです。

報復刑 第1巻

僕たちがやりました(全9巻)

金城宗幸(神さまの言うとおり)×荒木光(ヤンキー塾へ行く)が織りなす、「今日」に満足してる若人たちの「そこそこ」を目指す青春譚。だが、このタッグが、それだけで終わるハズがない!! 因果応報、驚天動地、賛否両論の第1巻!!!!!

そこそこの人生を望む少年とそれを取り巻く1つの仲良しグループが、ちょっとした悪ふざけをキッカケに殺人犯になってしまうという物語です。登場人物のほとんどがクズ&DQNで感情移入こそできませんが、ドキドキ&ハラハラする展開の中にも適度にクズっぽい要素が入ってくるので楽しみながら読み進めることができるでしょう。

なかなかの歪んだ世界観が非常に魅力的で、引き際も非常に良かったと思いました。「過去の過ちから逃げたい、でも逃げられない」というような葛藤、意外と深い物語です。実写ドラマ化もされて話題になりました。

関連:『僕たちがやりました』という漫画の登場人物がクズすぎて面白い

僕たちがやりました
Ⓒ僕たちがやりました

RAINBOW 二舎六房の七人(全22巻)

昭和30年7月。水上真理雄をはじめ、凶悪犯とされる6人の少年たちが、湘南特別少年院に送られてきた。教官から虫ケラのように扱われ、屈辱的な身体検査を受けた後、彼らは二舎六房という部屋に入れられる。そこには桜木六郎太という年長者がいて…。俺たちは生き残る。いつか必ず外(シャバ)に出る!昭和30年、湘南特別少年院の二舎六房に入れられた7人の少年たちを描く、壮絶な時代の青春群像!!

時は昭和30年、戦争が終わって10年が経過した頃のボロボロの日本で、犯罪を犯し新たに少年院に収監された6人と既に収監されていた1人の男の話です。7人の犯罪内容は詐欺であったり窃盗であったり多種多様ですが、正当防衛でありながらもそれが過剰なものだと判断されて収監された者もいました。

少年院の中では理不尽な暴力やイジメなどが待ち受けており、この7人が衝突しながらも最終的には強い絆で結ばれます。イジメに屈しない姿とか仲間との絆とかすっげー痺れる、憧れる。

関連:『RAINBOW 二舎六房の七人』に鬼気迫るようなスリルを感じた

RAINBOW 二舎六房の七人
ⒸRAINBOW 二舎六房の七人

軍鶏(全34巻)

真昼の昼下がり、少年は両親を殺害した。エリート銀行員の父と美しき母の、まとわりつくような愛情が、自分のすべてを吸い尽くすという妄執にかられ、少年は凶行に及んだ。収監された少年院で、少年は「空手」と出会い、その牙と爪を研ぎ続ける。何者にも自分自身を奪われないため、何より、殺されないためにーー。

優等生と言われていた少年がふとしたことがキッカケで実の両親を刃物で刺し殺してしまい、殺人の罪で少年院に収監されてしまうところから始まる物語です。少年院での体育の授業で習った空手で才能を開花させ、同じく収監されている院生から身を守ることを覚えたかと思ったら徐々に狂暴化していく主人公の姿が大きな見所になっています。

とにかく主人公のダークヒーロー感がたまらない作品で、やってることは極悪非道なんですけどなんとなく応援してしまうような魅力があるんですよね。格闘系の漫画とは言え、主人公がここまでのヒールだという作品は少ないのでぜひお試しください。

関連:主人公のダークヒーロー感は唯一無二!「軍鶏」の魅力

ギャングース(全16巻)

オレオレ詐欺団の金庫を狙え!職なし、学なし、犯罪歴あり。社会に見離された最底辺少年トリオが、生きるために選んだ仕事は“ヤバイ橋”。裏稼業・悪徳業種の収益金(アガリ)を狙う闇の窃盗団を結成した!犯罪結社(カンパニー)の金庫を叩き、建築資材窃盗団の倉庫を荒らす。義賊?ただの犯罪者?彼らは毒を持つ者を喰らう小動物。【※この漫画は実話を基にしたフィクションです。ただし犯罪の手口はすべて実在しますので、ぜひ防犯に役立てて下さい。※】

裏家業に手を染めている3人がヤバイ橋を渡る様子を描いた作品で、特筆すべきは「犯罪者を狙う犯罪者であること」です。主人公の3人には暗い過去のようなものがありますが、非常に明るく生きていて良くも悪くも楽観的というか、不思議と惹き込まれてしまう魅力のようなものがあります。

更には犯罪の手口やドラッグなど、あまり知ることができない裏の部分が詳しく解説されていたりもするので、良い意味で勉強になると言っても過言ではありません。「犯罪から身を守るためには犯罪の手口を知ろう」ということで、これを読んでおけばありとあらゆる犯罪から身を守ることができるかも(絶対とは言ってない)。

ギャングース 第1巻

SIDOOH―士道―(全25巻)

ニッポンが“幕末”と呼ばれる少し前、動乱の世に放たれた二人の兄弟がいた。兄は雪村翔太郎:14歳、弟は雪村源太郎:10歳――たった二人で生きる決意を誓った幼き“侍”に、容赦なく降りかかる時代の混沌、修羅の世界。ROCKする《SAMURAICOMIC》の決定版、ついに始動!

狐狼狸で親を失った2人の兄弟が、母親の「この世は理不尽だ。弱ければ死んで逝く」という遺言を胸に抱き、旅に出た直後に人を殺めてしまうところから物語は始まります。

強くなりたいという思いが生む数々の困難とドラマが待ち受けているのはもちろん、物語序盤から「命を奪うか、それとも奪われるか」というスリリングな展開が繰り広げられるので、この作品に引きこまれる加速力も相当なものです。絵も綺麗ですし(読みやすいかどうかは別にして)、数少ないチャンバラ系の名作だと思います。剣術漫画、サイコー!!

SIDOOH 士道 第1巻

残響(全3巻)

とある工場町で、漫然と日々を過ごす智(さとる)。彼が暮らす安アパートの隣室には、元ヤクザの老人、瀬川が住んでいた。ある日、瀬川は智に「500万渡すから、自分を殺してくれ」という依頼を受ける。躊躇する智だったが、瀬川から、智の中に巣喰う狂気を見抜かれ、彼自身の心にも変化があらわれはじめ…!? 人間の心の闇と、生き方を問う、超実力派作家、高橋ツトムが挑む新境地、青春逃走物語!!

こちらもSIDOOHと同じ、髙橋ツトム先生の作品。氏は本当にダークな世界観を表現するのがメチャクチャうまい!本作はアパートの隣室に住んでいる老人から「お礼に500万やるから俺を殺してくれ」と頼まれ、そこから老人の願いを聞き入れて旅に出るというストーリーです。

ヤクザの事務所に行くことになったり、訳ありの女性と出会ったり、血の繋がりの無い子供を育てることになったり…。全3巻とは思えないほど濃密な世界観に圧倒されました。ヤクザがらみの抗争(派手なドンパチじゃないやつ)が好きなら、間違いありません。

残響 第1巻

寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。(全3巻)

著:三秋縋(メディアワークス文庫「三日間の幸福」), 著:田口囁一, 著:E9L・田口囁一

毎日を無気力に過ごしていた青年クスノキは、ある日寿命を買い取ってくれる不思議な店の噂を耳にする。金に困って寿命の大半を売り払った彼は、余命3か月を「監視員」のミヤギと共に過ごすことになるが…。三秋縋の人気小説「三日間の幸福」を完全コミカライズ。

毎日を無気力に過ごしていた青年が自分の寿命を3ヶ月だけ残して、残りを全て一年につき一万円で売ったあとの生きざまを描いた漫画です。誰しも「残りの寿命が可視化できたら…」という想像はしたことがあると思いますが、それに金額が付くというのはなんだか知りたいような知りたくないような不思議な感じです。

ストーリーの展開も不思議さを残しつつも決して飛躍しすぎていないので、感情移入しながら読み進めることができるでしょう。個人的には想像通りの結末でしたが、展開としては終始綺麗で万人受けするんじゃないかと思います。

寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。 第1巻

よるくも(全5巻)

この[世界]には、上・中・下、がある。富めるものの住む[街]。貧しいものの住む[畑]。その下に、深く、暗い[森]――。[畑]でうまい飯を出す高岡飯店。看板娘のキヨコは、母をささえながら店を切り盛りするはたらき者。ある日、店の常連の“裏の仕事の手配師”中田の頼みにより、[森]からやってきたという殺し屋「よるくも」の毎日のメシの面倒をみてやることになった。「よるくも」は[森]に使い捨ての子供として生まれ、感情を持たず、痛覚を持たず、読み書きの知識を持たないままに育ち、中田の指示により殺しの仕事を日々こなす青年。キヨコとよるくもが出会うことにより、[世界]は少しずつ壊れはじめる――圧倒的に鋭利な新才能が描く、愛と暴力の悲劇、開幕!!

「上・中・下」で階層分けされているという初期設定や、富者が貧者を踏みつけていきる世界観がなんとも言えない、非常にダークな物語です。「中」に所属している主人公が「下」からやってきた殺し屋に食事を与えるところから物語は始まります。

「朝蜘蛛はますに入れて神棚にまつれ 夜蜘蛛は親に似ようが殺せ」という言い伝えをもとに描かれた愛と暴力の悲劇とのことですが、物悲し気な世界観の中にもホッとする瞬間を感じてしまう、そんな物語です。

よるくも 第1巻

殺し屋1(全10巻)

元いじめられっ子の殺し屋・イチ VS ドMヤクザ・垣原。壮絶な殺し合いが幕を開ける!! 気弱な青年イチは、心の内に強烈なドS性を秘めている。一方、命を狙われる事に悦びを覚えるドMヤクザ・垣原。宿命の二人が出会った時、新宿の街が血に染まる!! 「ホムンクルス」「新のぞき屋」の山本英夫が贈る伝説的バイオレンス・エンターテイメント第1巻!!

本来の殺し屋系の漫画は、主人公の殺し屋は淡々と殺戮を繰り返すマシーンというか、心理描写などがあまり語られない作品が多いような気がするのですが本作の主人公は異例すぎます。ハッキリ言ってよくわからない系の主人公です。ナヨナヨしてるかと思いきや、かなりの腕っぷしのようで…。別に正体を隠すためにわざと弱者を装っているということでもなさそう。

絵も綺麗とは言い難く目を伏せたくなるような残虐なシーンも数多く登場しますが、一気読みしてしまいました。なんとも言えない魅力のある作品です。

殺し屋1 第1巻

100万円の女たち(全4巻)

売れない小説家、道間 慎。彼は5人の女たちと一緒に暮らしている。女たちは毎月、彼に100万円支払い、彼が女たちの世話をする…なぜ? 金と愛と死の臭いが立ちこめる一軒家で、歪な六角関係が繰り広げられる…

「月500万を貰いながら5人の女と共同生活する1人の売れない小説家の物語」で、多くの謎が渦巻くサスペンスです。絵がちょっと残念なんですけど中身はメチャクチャ面白いです。正確には面白いというか夢中にさせられてしまう妙な魅力に溢れていると言った方が正しいかもしれません。

「なぜ、このような共同生活を送ることになってしまったのか」が主軸となって次々と急展開を迎えてしまうのですが、とにかく謎めいていて読む人を飽きさせないんですよね。絵に躍動感もなく淡々と進んでいきますが、読了後には「それすらも魅力」と思えるほどの作品です。

100万円の女たち 第1巻

ウロボロス―警察ヲ裁クハ我ニアリ―(全24巻)

龍崎イクオと段野竜哉は、最愛の人を亡くした15年前の事件をきっかけに、ある巨大組織に守られた男への復讐を誓う。因縁の男を探し出す為に、そして復讐を果たす為に、龍崎は刑事になり、段野は極道になった。二人が追う男が身を置く巨大な組織、それは……日本の警察機構!読む者の心を揺さぶる本格ポリス・エンターテイメント、第1巻!!

15年前に最愛の人を失った2人の男が1人は警察、もう1人は極道になり、日本警察に守られている犯人に対する復讐を誓った物語です。相反する立場に置かれた2人の主人公が同じ目的のために立ち向かっていく姿が熱く描かれています。

「事件の隠ぺいを計った刑事=犯人」というテイで物語は進んでいきますが、とにかく引き込まれてしまう世界観があるんですよね。絵も綺麗ですし、登場人物に好感も持てます。万人向けのダークな世界観を持った漫画です。

ウロボロス‐警察ヲ捌クハ我ニアリ‐ 第1巻

三億円事件奇譚 モンタージュ(全19巻)

「ボクは三億円事件の犯人の息子です」――1968年12月10日に起きた昭和史最大の未解決事件、三億円事件。大規模な捜査が行われたが、7年後に時効を迎えた……。そして時は流れ現代。一人の少年が瀕死の老刑事に「おまえの父親は、三億円事件の犯人だ」と告げられた!!運命の輪に巻き込まれた少年は、三億円事件の謎を明らかにできるのか!?列島縦断クライムサスペンス!!

2010年~2015年にかけてヤングマガジンで連載されていたミステリー漫画で、昭和史最大の未解決事件とも呼べる三億円事件がモチーフになっている作品です。三億円事件を知っている人も知らないという人も、すごく丁寧な導入部分のおかげで取っ付きやすく描かれています。

かなり複雑な物語なので丁寧に読み進めないと理解するのも難しく、読破するには結構な時間を必要とするでしょう。結末も非常に興味深いものになっているので、三億円事件に興味を持ったことがある人なら楽しめる作品だと思いますよ。

モンタージュ 第1巻

新宿スワン(全38巻)

スカウト会社“バースト”の見習い社員となった白鳥(しらとり)タツヒコ、19歳。街角でギャルに声かけて、お水のシゴトを斡旋(あっせん)し、紹介料でメシを食う。そんな歌舞伎町ディープビジネスの世界に飛び込んだ彼を待っていたのは、何よりもカネがモノをいう弱肉強食の掟だった……!!日本最大の繁華街の雑踏に立ち、覗き込んだ裏社会のリアル。歌舞伎町のスカウトほどサイテーで最高な商売はない!!

ホスト、闇金融、ヤクザ・・・そこに並んで新宿歌舞伎町で仕事をするスカウトの話です。スカウトに焦点が当てられてる漫画って、今まで無かったんじゃないでしょうか。ナワバリ争いや幹部昇格などを巡って争うことになったり、スカウトした女の子の人間模様なども描かれています。これまでに無かった着眼が一際光っている漫画です。

表現はマイルドになっていて、比較的読みやすい部類のように感じました。恐らく暴力的な場面や目を背けたくなるような描写が、なるべく少なくなるように工夫されているんだと思います。

新宿スワン 第1巻

寄生獣(全10巻)

ごく普通の高校生・新一は、ある晩部屋で、ヘビのような生物を発見する。叩き潰そうとしたその生物は、新一の右手に侵入してきた。その生物の正体は、他の動物の頭に寄生して神経を支配する寄生生物だった…!寄生に失敗し、新一の右手に寄生したミギーと新一の奇妙な生活が始まる。やがて二人は、お互いの命を守るため、人間を食べる他の寄生生物と戦い始める…。全人類必読!未来への警鐘の書が登場!!

食物連鎖において人間のうえに誕生した寄生生物を巡るお話です。何かに寄生されるなんて想像するだけでも吐き気がしますが、ミギーならOK!あ、ミギーというのは本作の主人公に寄生した生物です。

結構グロテスクな描写がありますが、それ以上にテーマが大きいので毛嫌いせずに読んで欲しいと思う漫画の1つです。漫画を通じて人間の存在や命について考えさせられると言っても過言ではありません。個人的にはマンガ全体を見渡してもかなり面白いと思える作品の1つです。まだ読んだことがないという人はぜひ読んでみてください。

寄生獣 第1巻

ホムンクルス(全15巻)

新宿西口で車上生活をしている主人公・名越は、持ち前の虚言癖のためか、他のホームレスの中にとけ込めない日々を送っていた。そんな彼の唯一の楽しみは、車で気ままに走るドライブ。だがついにガス欠となり、お金も底をついてしまう。そんなある日、名越の前に不気味な男が現れて、彼に声をかけてくる

頭蓋骨に穴を開けると第6感が芽生えることがあるという手術「トレバネーション」の被験者になった1人の男の物語です。それによって目覚めた超能力により、人がロボットに見えたり砂の形に見えたり…。その人の真実や隠された過去が見えるという点は、不気味ながらも非常に面白いと思います。

ダークな漫画って括りにしていいかどうかは悩みましたが、人間観察が秀逸でちょっと不気味という意味では秀でている作品です。基本的に人体の不思議って面白くないですか?何かしらの障害を持って生まれた人物が別の能力に秀でているとか、ある時「事故で失ったはずの右手が痛くなる」みたいな不思議。そういうのが好きな人ならハマると思います。

ホムンクルス 第1巻

ミスミソウ(全6巻)

「私は家族を焼き殺された――。」三角草(ミスミソウ)。厳しい冬を耐え抜いた後に雪を割るようにして咲く花。閉鎖的な田舎町の中学に転校してきた少女「春花」を待っていたのは、壮絶なイジメだった。せき止められない憎しみに、少女の心は崩壊する―――!!

やたらと評価が高かったので読んでみましたが、ただただ悲しい物語でした。最初の1巻で読み進めるのが怖くなり、続きを読むか悩んだくらいです。正確に言うのであれば怖いというよりも「気分が悪い」というか・・・。

最初は苦手だったやたらと目が大きい絵のタッチは、最終的にはこの漫画と非常にマッチしていることに気付きます。不条理さ、理不尽さ、残酷さ…。悲しみの果てに待つ結末を知りたいがために読み進めてしまう不思議な感覚が、この漫画の大きな魅力です。

元々はkindle版で全3巻でしたが、コミックスで上下巻、kindle版だと全6巻仕様に変更されています。尚、内容は変わっていない模様。

ミスミソウ 第1巻

鋼の錬金術師(全27巻)

兄・エドワード・エルリック、弟・アルフォンス。2人の若き天才錬金術師は、幼いころ、病気で失った母を甦らせるため禁断の人体錬成を試みる。しかしその代償はあまりにも高すぎた…。錬成は失敗、エドワードはみずからの左足と、ただ一人の肉親・アルフォンスを失ってしまう。かけがえのない弟をこの世に呼び戻すため、エドワードは自身の右腕を代価とすることで、弟の魂を錬成し、鎧に定着させることに成功。そして兄弟は、すべてを取り戻すための長い旅に出る…。

もはや説明不要かとは思いますが、人体錬成という最大の禁忌を犯した2人の兄弟の話です。「亡くなってしまった母親の笑顔を1度でいいからまた見たい」という純粋な想いが、今後の運命を大きく変える悲劇をもたらします。

兄のエルリックは左足と右手を失い、弟のアルフォンスは全身を失い魂だけの存在となってしまいました。少し暗めの世界観、錬金術という着眼、この漫画のどれを取っても唯一無二の魅力であることは間違いありません。重いテーマでありながらも、読み始めたらその世界観に魅了されてしまうこと間違いないでしょう。

鋼の錬金術師 第1巻

ぼくらの(全11巻)

夏休み、過疎地の村へ“自然学校”にやってきた少年少女15人。1週間が経ったある日、海辺の洞窟へ探検に入った一同は、その奥にコンピューターを持ち込んで住んでいた謎の男・ココペリと出会う。彼は自分が作ったゲームをやらないかと誘い、宇白可奈を除く14人の中学1年生が同意して契約を結ぶ。半信半疑で宿舎に戻った一同だったが、その日の夕刻、大きな物音と共に巨大ロボットが現れて…。

最初はエヴァンゲリオンのような「ロボットみたいなものに乗って、地球外から来た生物かなんかを倒す物語」だと思っていたのですが、序盤でひしひしと感じる不穏な空気によってそれが自分の勘違いだと思い知らされました。

そして真実を知った瞬間、なんとも言い難い気持ちに包まれ、読むのを途中で中断することができない状況に。ハッキリ言って、こんな漫画は見たことがないです。普通にヒーローものだと思って読み進めると、最終的には大目玉を食らうことになるでしょう。とりあえず多くは語りません。時に優しく、そして残酷な物語。ぜひ読んでみてください。

ぼくらの 第1巻

走馬灯株式会社(全10巻)

走馬灯株式会社。それは、自分の視点で記録された人生を観ることができる、不思議な会社。妻と子を失った男性、集団自殺希望の若者3人組、様々な人々が迷いこみDVDを観始めると、そこには、今まで知らなかった過去の真実、心の奥底にしまいこんだはずの秘密が。全てを観た後、彼らは…?新鋭漫画家が贈る極上ミステリー。

1話完結型のストーリーが非常にテンポ良く進んでいきます。内容としてはストーリーごとの主人公が走馬灯株式会社という所に足を踏み入れ、自分の顔を振り返ることで新たな気付きを得るというものです。

走馬灯株式会社の設定自体は「世にも奇妙な~」にありそうな感じで、掴みから最後まで読者を夢中にさせてくれるでしょう。そのうえで、ハッピーエンドからバッドエンドまで様々です。結末に関しても完璧と言っていいタイミングで幕を下ろした良作です。

走馬灯株式会社 第1巻

スモーキング(全5巻)

『D・B・S ダーティー・ビジネス・シークレット』の岩城宏士、壮絶アウトロー劇場、激序幕ッ!!! 煙屋と呼ばれし奇癖の殺し屋、見参。この世に蔓延る悪党様を討伐いたしますー!!!!!

こちらは煙屋と呼ばれる殺し屋たちの物語です。ヤクザからの依頼を受けたり、自分たちの信念に則って無償で仕事を請け負ったり…。個性的な4名のチームによる殺し屋稼業は非常に独特で、任務を遂行した証拠に「ターゲットの背中の刺青を皮ごと剥いで依頼主に届ける」という特徴を持っています。

掴み所がなく、完璧に任務を遂行するという意味合いからスモーキングと呼ばれている主人公たちですが、どこか完璧じゃなくてそこそこ追い詰められたりするのも本作の大きな特徴です。

スモーキング 第1巻

人間失格(全3巻)

太宰治の希代の問題作「人間失格」を、現代社会を舞台に変え、完全コミック化!「恥の多い生涯を送ってきました」――ネット上に見つけた大庭葉蔵の独白が赤裸々に綴られたページ。掲示されていた3枚の写真は、葉蔵の転落の人生の軌跡を描いていた。読み進めるほどに堕ち、崩壊していく葉蔵の人生。彼は何を恐れ、逃げていたのか。鬼才×鬼才、100年に一度の出会いが生み出した究極にして最強のコラボレート作!ここに登場!!

私は太宰治の原作を知らないのですが、恐らくこの漫画は「太宰治の書いた『人間失格』を現代風にアレンジしてマンガ化した作品」っぽいです。原作がどの程度洗われているのかはわかりませんが、非常に読みやすいと思います。

最初から最後まで負の感情の連鎖というか人間の醜さのようなものが描かれていて、ぶっちゃけると「3巻で終わらなかったら、身がもたなかったかも」と思えるほどのダーク感です。人間の脆さを上手く表現しているので、漫画でありながらも中身は文学作品だと言っても過言ではないでしょう。

人間失格 第1巻

バウンスアウト(全5巻)

東京、六本木。すべての欲望が溢れ、乱れ、踊るこの街に、ひとりの不良少年が降り立った。そこで目撃するのは、これまでにない大きな地殻変動。利権を非顕在化し、暴排条例のため地下に潜った“不良”たち。暴力とカネという地下水脈は、警察の目が届かないところで激流となり、少年は否応なく飲み込まれていく――。新しいタイプのアウトローが蠢く現在の“ロッポンギ”を舞台に描く、堂々のネオ・クライム・アクション!!

海老蔵事件や朝青龍事件などで一躍有名になった関東連合が引き起こした「六本木フラワー事件」が元ネタになっている漫画です。若干の脚色はされていると思いますが「そもそもあの事件ってなんだったの?」という人には非常にわかりやすい内容にまとまっています。

とは言え実行犯でまだ捕まっていない人間もいる事件ですので、事実に基づいたドキュメンタリーというよりかは、六本木界隈を舞台にしたアンダーグラウンドなマンガくらいに思っていた方が適切でしょう。全5巻で読みやすいですし、所々が実際の事件そのものなので恐怖のリアリティも半端ない作品です。

バウンスアウト 第1巻

ジェノサイダー(全4巻)

暴力、脅迫、拉致、ドラッグ、美人局……金のためならなんでもアリの半グレ集団。流されるままに犯罪に手を染める少女のまわりで起きる凄惨な事件の数々。暗く汚い悪意の渦にのみ込まれていく――とまらない欲望。断ち切れぬ復讐の連鎖。『事件』へのカウントダウンが始まる。

ハングレにスポットが当たっておりドラッグや恐喝、美人局などが日常的に描かれている漫画です。常識人であれば胸クソ悪くなるレベル。半ば奴隷のように扱われる可愛い女の子が出てくるんですけど、エロい気持ちで見ることができないくらい痛々しく描かれています。そして途中から絵のテイストが変わってしまうのが少し残念。

ですが、事件へのカウントダウンが始まったときの恐怖感はハンパ無いです。「なにが起こるの!?」という怖いもの見たさが刺激される作品だと思います。

ジェノサイダー 第1巻

サンケンロック(全25巻)

夢も希望も失い、喧嘩に明け暮れていた北野ケンは、同級生に恋をする。彼女の名はユミン。韓国籍の彼女は、ソウルで警官になると言って帰国。一念発起してユミンを追いかけたケンだったが、怪しい男たちに囲まれ…!?日本少年が異国の地、ソウルで、恋に友情に喧嘩に真っ向勝負の第1巻!!

好きな女の子を追いかけて勢いで韓国に行ったところ、なぜか韓国でギャングになるという滅茶苦茶な設定の漫画です。・・・一応書いておきますがギャグ漫画ではありません。暴力的な描写やエロシーンも多く、まさに典型的なギャング作品なのですが「自分たちの国家を作る」という最終目標へ向けて、仲間たちとの絆を深め合いながら成長していく過程が細かく描かれています。

ならず者に捕まった少女が好き勝手されてしまうという、胸クソ悪くなる描写が多い部分については賛否両論あるかと思いますが、もう少し注目されてもいい漫画だと思いました。

サンケンロック 第1巻

バジリスク~甲賀忍法帖~(全5巻)

江戸の世、天下人・徳川家康は甲賀(こうが)と伊賀(いが)という忍法の二大宗家を相争わせ、十人対十人の忍法殺戮(さつりく)合戦の結果どちらが生き残るかによって、三代将軍の世継ぎ問題を解決させることにした。だが憎み合う両家にあってそれぞれの跡取り、甲賀弦之介(げんのすけ)と伊賀の朧(おぼろ)は深く愛し合っていた――。時代に翻弄(ほんろう)される忍術使いたちのあまりにも過酷な運命の幕が上がる!!

甲賀と伊賀の2つの一族が、徳川家の後継者を決めるために殺し合わなければならなくなってしまった物語です。激しい忍法合戦はもちろん、本来であれば結ばれていたであろう戦いを望まぬ2人の壮絶な運命は涙なしには語れません。

個性的で魅力的なキャラクターが、次々と死んでいってしまう加速度と、単行本にして全5巻という読みやすいボリュームも相まって一瞬にして読み終わってしまうことでしょう。それでいて中だるみせずにキッチリと読ませてくれるあたりはさすがの一言です。アニメも仕上がりがカッコイイので漫画が面白かったという方はアニメもどうぞ。

関連:忍者漫画の最高峰!「バジリスク 甲賀忍法帖」が大好きだ

バジリスク 甲賀忍法帖
Ⓒ バジリスク 甲賀忍法帖

Y十M 柳生忍法帖(全11巻)

江戸時代、徳川三代将軍・家光の世。会津藩主・加藤明成に逆らったとされた会津藩元家老・堀主水一族は、高野山より東海道を江戸へと引かれていった。引いていくのは加藤家の配下、会津七本槍と呼ばれる男たち。七本槍は堀の男たちに対し、「尼寺に逃げた堀一族の女たちに武士の情けで一目会わせてやる」と告げるが、その裏には、一族の男たちの前で堀の女たちを惨殺しようという恐ろしい企みがあった――。残虐七鬼vs.美女七人、未曾有の復讐劇が幕を明ける。

前項で紹介したバジリスクと同じ作者が手掛けた本作品もまた、ダークな世界観を汲んでいる名作です。こちらはバジリスクとは違って復讐劇になります。しかも旦那たちを殺された女たちによる復讐劇です。

バジリスクほど殺伐とはしておらず、結末的にも綺麗に着地してくれた感もあるので割と多くの人に受け入れられる漫画なんじゃないかと思います。全11巻と短すぎず長すぎずのボリュームもgoodです。

Y十M 柳生忍法帖 第1巻

あずみ(全48巻)

少女のあずみを含む10人の子供達が、人里離れた場所で秘かに刺客として育てられていた。そして、彼らは爺の言葉をすべて正しいこととして疑うことを知らない、精鋭の刺客として育った。ある日、爺からいよいよ外界に出る時になったと告げられる。しかし、その前にこれまでの修業の総仕上げとも言うべき凄まじい試練が待っていた!

戦国時代を生き抜く、精鋭の刺客として育て上げられた10名の子供たちの話です。他の漫画にあまり見られないのは、主人公が女の子で相当強いという部分ですね。普通に腕が飛んだり首が飛んだりするので、なかなか過激な内容であることも本作の魅力の1つと言えるでしょう。

全48巻でかなりの長編漫画ということもあり若干の中だるみは否定できません。ですがチャンバラアクションで、少し暗めな話をお求めの方には文句無しにおすすめです。

あずみ 第1巻

クロサギ(全20巻)

世に三種の詐欺師あり。他人を騙し、金銭を巻き上げる“シロサギ”。異性を餌とし、心と体を弄ぶ“アカサギ”。そして人を喰らわず、シロサギとアカサギのみを喰らう“クロサギ”がいる。家族を死へ追いやったシロサギを憎悪し、ただシロサギのみ喰らうことを生涯の目的とする男の、復讐の物語が始まった!

現代日本でも頻繁に耳にすることがある詐欺事件ですが、本作の面白いところは「詐欺師を詐欺に嵌める詐欺師」が主人公という極めて異端な点です。いわゆる義賊のような存在でもありますが、卓越した詐欺の知識でもって詐欺師を詐欺に嵌めるその手口と流れはまさに圧巻と言えるでしょう。

「目には目を、歯には歯を」という方法で悪人に仕返しをしていく姿には、一種の爽快感すら感じます。騙しの手口のようなものも軽く勉強できますし、普通に読むだけでも社会の裏の顔のようなものも垣間見ることができますよ。法の抜け穴などのようなアンダーグラウンドな部分に興味のある人におすすめです。

関連:詐欺師を詐欺に嵌める「クロサギ」読了後の爽快感は異常

DEATH NOTE(全12巻)

このノートに名前を書かれた人間は死ぬ…。死神リュークが人間界に落とした一冊のノート「DEATHNOTE」。ここから、二人の選ばれし者「夜神月」と「L」の壮絶な戦いが始まる!!かつてないスリルとサスペンス!!

大きな社会現象を巻き起こした作品ですので、ご存知の方も多いことでしょう。漫画好きの方なら確実に押さえているかとは思いますが、ダークな世界観を持った漫画を語るうえで外すことができないのがデスノートです。

秀逸な伏線や高度な駆け引きなど非常に多くの見所が全12巻に集約されています。どちらかと言うと主人公が悪属性というのも面白いです。もしまだ読んだことがなければ今すぐ読むことおすすめします。最後の方は出来レースだったような気もしますがライトとエルの戦いは今読んでもすごく熱い!

DEATH NOTE 第1巻

マンホール(全2巻)

夕暮れの商店街で、全裸の男が怪死を遂げた。検死の結果、体から新種の寄生虫が発見される。ベテラン刑事・溝口とその部下・井上は事件を追う内、ひとつのマンホールへとたどり着く。暗闇の中、そこには謎の“施設”の存在が…!? 加速する恐怖、戦慄のバイオ・ホラー!!

このマンガを読んだ後にフィラリアとググるまでが作品です。本物のフィラリアを見たときは背筋がゾクゾクしました。本作は人間の欲望に巣食う寄生虫と、それによって相次ぐ死亡事故を捜査する刑事が織りなす社会派サスペンスホラーです。

心理的に怖く感じてしまうシーンや少し目を覆いたくなるような描写はありますが本質はサスペンス。「誰が何の目的で?」という部分が1本の線で繋がった時、本作の面白さに気付くと思います。所々に目を覆いたくなるような描写があるので、読む場合はグロ・虫耐性必須です。

関連:怖面白いサスペンスホラー「マンホール」の紹介

予告犯(全3巻)

インターネット動画投稿サイトで犯行予告動画を投稿する謎の男。果たして予告された事件は起きるのか…!?高度に情報化された現代のテロリズムを描く、緊迫のサスペンススリラー開幕!!

簡単に言うと「犯罪者vs警察」という縮図になるのですが、動画配信サイトで犯罪を予告してから事に及ぶという部分から予告犯です。最初は愉快犯というか「お前、何様だよ」みたいな気配すらしますが、結末への序章として非常に秀逸な流れを汲んでいます。YouTuberでも逮捕される人が出てくるような世の中になったので、すごく身近なサスペンスのように感じるかもしれません。

序盤から終盤まで一気に読み進めてしまう魅力は、前項で紹介したマンホールに続いて本作品でも健在です。筒井先生が描くサスペンスというかダークな世界観は、本当に「読む人を夢中にさせるよなぁ」と思わせてくれます。

予告犯 第1巻

ミュージアム(全2巻)

悪魔の蛙男、“私刑”執行。“ドッグフードの刑”“母の痛みを知りましょうの刑”“均等の愛の刑”“針千本のーますの刑”“ずっと美しくの刑”――。すべては、ある1つの裁判から始まった。超戦慄連続猟奇サスペンスホラー、絶望大解禁!!!

猟奇的な殺人犯を捕まえようとする刑事の物語です。普通に殺すのではなく、何かしら手の込んだ方法で相手の命を奪う方法の数々は、映画のSAWを彷彿させます(私は見たことがありませんがセブンという作品にも非常に似ているとのことです)。

主人公である刑事の沢村と猟奇的な殺人犯の意外な関係が明らかになっていくに連れて、不安感や好奇心が煽られていくでしょう。超戦慄連続猟奇サスペンスホラーというキャッチフレーズに嘘偽りはありません。SAWやセブンが好きな人は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

通常版は3巻構成で、完全版だと上下2巻構成となっています。

ミュージアム 第1巻

氷の豚(全5巻)

ニッポン社会の“すぐ隣”に潜み弱者を支配し続けている『闇社会(ファーム)』! そこでは奴隷オークション、臓器売買、スクールカーストなど“都市伝説ばり”の残虐行為が平然と行われていた。そんな“現実”を目の当たりにしたJKハッカー・アイスピッグ(氷の豚)とフリーター男子のベスパ。主従関係を結んだ2人が『闇社会』に宣戦布告ッ!!

日本の裏社会で行われている奴隷オークション、臓器売買などの悪行に手を染めている闇社会と呼ばれている組織に宣戦布告するという物語。宣戦布告したのが元奴隷の男女で、しかも女はハッカーという珍しい組み合わせです。女ハッカーはその世界では有名な人物で素性は明らかになっておらず、懸賞金が1億円ほどかかっています。

それだけの賞金首が物語が始まったと同時にボロを出しまくる展開には若干疑問がありますが、そこまでグロい描写に頼らずに残酷な世界観を表現できている点はまさに圧巻の一言です。

氷の豚 第1巻

イキガミ(全10巻)

国民に生命の価値を再認識させることを目的として制定された法律「国家繁栄維持法」。この法律の名のもと、1000人に1人の確率で国民に注入される特殊カプセルは、対象者が18~24歳の期間に破裂し、その者の命を奪う。そして、そんな「死」の24時間前に対象者のもとへと届く死亡予告証こそが、通称“逝き紙(イキガミ)”と呼ばれる一枚のカードである。武蔵川区の“イキガミ”配達員・藤本賢吾が、今回届ける対象者は…!?

この作中では国家繁栄維持法と呼ばれる特殊な法律が定められ、小学校入学時に予防接種を受けることを義務付けられています。その予防接種を受けることで、およそ1000人に1人が「18歳~24歳までの決められた日時を迎えると死んでしまう」という世の中の話です。

その危機感が生命の価値を高めるということを狙いにしているようですが、自分が死んでしまうとわかった人間は自暴自棄になる人も少なくありません。「自分の身に起こったら・・・」と考えると非常に興味深いテーマだと思います。

イキガミ 第1巻

死刑囚042(全5巻)

死刑囚042号(本名・田嶋良平)は、椎名という研究者からある実験に誘われる。それは、死刑制度を廃止する代わりに、死刑囚の脳に殺意が芽生えると爆発するチップを埋め込め、監視しながら社会奉仕させるというものだった。その提案を受け入れた田嶋は、とある公立高校で働くことになるが…。

死刑制度の廃止を検討する法務省が、死刑囚の脳内に「殺害などの犯罪の衝動に反応するチップ」を埋め込むという試験に踏み切った話です。主人公は本来であれば死刑になる人間で、実験的に脳内にチップを埋め込まれ外に出ることを許された死刑囚042号になります。

終始シリアスな雰囲気で一貫していくかと思いきや、人との触れ合いの部分では割とほっこりできるような描写もあり、主人公を始めとする登場人物たちの心の移り変わりが非常に上手く描かれている作品です。

死刑囚042 第1巻

無頼伝 涯(全5巻)

「見てろっ………!オレは必ず這い上がるっ…………!」――。資産家の老人を殺害した犯人に仕立て上げられた中学生・工藤涯(くどう・がい)が、自分の無実を証明するために闘っていくサスペンスアクション。鳳臨グループの会長・平田隆鳳(ひらた・りゅうほう)を刺殺した容疑者として追われる工藤涯は、ビルの路地に追い込まれ、警部・安部(あべ)と対峙する。そこで涯は、自分ははめられたのだと告白するのだが……!?

とある殺人事件の濡れ衣を着せられた中学生の主人公が、人間学園と呼ばれる非人道的な施設に入れられ、そこを脱出することを考えながら同時に事件の真相を暴こうとする物語です。いわゆる「素行の悪い少年が権力者に上手くハメられてしまった」という話ですね。脱獄に似た緊張感もありながら人間であることの本質を描いた名作です。

個人的には部屋の中にじっと隠れていたシーンがあまりにもインパクトが強すぎて、夢に何度も見るくらい忘れられませんでした。感動とは違いますけど「人の心を動かすのはやっぱり人の心なんだなぁ」ということを再認識できる漫画です。

関連:なぜ打ち切られたのかがわからない!「無頼伝 涯」を語ろう

銀と金(全11巻)

裏社会で頭脳と心理戦を駆使して巨万の富を得ていく男達の活躍を描いた賭博コミック。競馬でスッカラカンになってしまった森田鉄雄(もりた・てつお)は、平井銀二(ひらい・ぎんじ)に声をかけられ、日当10万円の仕事を持ちかけられる。そして翌日、みかん箱10箱を運んだ森田は、その箱の中には不正融資で得た10億円が入っていると平井から知らされて……!?

お金にまつわる様々な駆け引きを通じて描かれる、裏の裏の世界のストーリーです。裏社会の帝王と呼ばれる人物に若者が弟子入りするというような流れなのですがこれがまぁ面白い。普通は「弟子が師匠を超えて新たな帝王になりました。めでたし、めでたし」という着地をしそうなものですが、そんな単純な終わり方をしなかったのも印象的でした。

桁違いのお金が動くギャンブル対決や命のやりとりなど、ハラハラする展開の中での駆け引きがたまらない作品です。距離を金で買うって発想はもはや天才としか言いようがないでしょう。最近の福本作品には色々思う部分がありますが、この頃の福本氏は間違いなく天才だと思わされる作品です。

関連:カイジのようなマンガが好きなら「銀と金」も面白くておすすめ

銀と金 第1巻

ディアスポリス‐異邦警察‐(全15巻)

生きてゆけ、嫌なら死ね! 密入国異邦人(ディアスポラ)が生きる、リアル・トーキョー・アンダーワールド!!

パスポートを持たない不法就労外国人や密航者などの「闇でしか生きられない異邦人」を守っている特殊な警察の話です。日本警察に泣きつけないことを逆手に取って、騙して臓器を奪ったり、幼女を売りさばいたり、拉致して身代金を要求したり・・・。

そんな犯罪を取り締まる1人の男の物語と、とにかくアンダーグラウンドな世界が「シリアスとギャグの融合」で上手に描かれています。絵はクセがあるけど話のテーマとしてはめちゃくちゃ斬新です。

ディアスポリス‐違法警察‐ 第1巻

東京闇虫(全7巻)

借金まみれの加藤は東京で謎の男に出会う!不気味な仕事で大金を得続けるが…!?人生で最も選びたくないシナリオ、衝撃の新人デビュー!

285万円もの借金を抱え返済もままらなかった加藤は、ふとしたことがきっかけで闇社会に足を踏み入れることになります。借金の回収や危なげな紙袋の配達など内容は様々で、命の危険を感じる展開に巻き込まれたりと目が離せません。

しかし後半はテコ入れがあったのか、一見すると「ギャグ漫画にシフトした!?」と思うような急展開も。後述している「東京闇虫2nd」の世界観を堪能するために読んでおくといいかとは思いますが、後半は何が描きたかった作品なのかだけ不明です。

東京闇虫 第1巻

東京闇虫 -2nd scenario- パンドラ(全8巻)

人生で最も選びたくないシナリオ、映画化決定を受け、新たな闇シリーズ開幕!真っ当なサラリーマン人生を送ってきた25歳の野々宮は、後輩にハメられ東京の闇世界を垣間見る。出会ったのは浅村という黒づくめの男。野々宮の裏の感情が爆発する!?

一見、真新しいストーリーかと思えますが最終的にはしっかりと続編であることがわかります。今作は良くも悪くも非常にリアルな世界観を持った作品で、援交や風俗の語られない側面であったりそれを取り巻くヤクザなど、まさに現実にありそうな闇社会を堪能することができるでしょう。

前作でいうところのギャグ的な要素がなかったので安心して読み進めていましたが、最後はやはり「ん!?」と思わざるを得ないような気も。正直言うと「途中までメッチャ面白かったのになんで?」と思ってしまった部分もありました。

東京闇虫 -2nd scenario- パンドラ 第1巻

ヤミホタル(全3巻)

さえないホストの王史は客からの多額のツケがあり、オーナーの沢田よりあるローン会社からの借金を迫られる。さらに王史にとって、唯一の太客である風俗嬢のエミリを店に呼ぶように言われるが、実は彼女と付き合っていた。彼女を客として見られない王史はある日、ホストを辞めようと決心し、彼女にも風俗の仕事をやめるよう頼んだ。だが、エミリはそのまま仕事へ出てしまい、客から暴行されそうになる!東京・池袋を舞台に描かれるウラの世界!

酒の飲めないホストが主人公。主人公は客のツケを押し付けられ、風俗で働いている彼女がそれを返済しようと闇金に手を出して、どん底に落ちてしまうというストーリーです。ドラッグとか人身売買とかかなりアンダーグラウンドな世界が描かれていますが、全3巻で駆け足感もありそこまで残酷過ぎないのが不幸中の幸いでしょうか。

終わり方がスッキリしないのも「本当にこれで物語は終わりなんだろうか?」と読者を煽る効果があって、このフィナーレもある意味では本作の魅力なんじゃないかと思います。

ヤミホタル 第1巻

漂流ネットカフェ(全7巻)

エロと純愛が同居する独特の作風で、多くの支持者を持つ押見修造「漫画アクション」連載の最新作。ふと入ったネットカフェで初恋の人に再会した土岐耕一、29歳。再会を喜ぶふたりだが、ネカフェの外の街が消えてしまった。宿命のふたりの他にネカフェに居た、オタクや暴力男、生意気な小僧やギャルにサラリーマンなど、日常では接点が無い人々を巻き込んで繰り広げられる、突発的空間断絶ラブストーリー!!

どこかで聞いたことがあるようなストーリーで新鮮さこそありませんが、エロとバイオレンスが渦巻く世界に純愛が同居しているという展開が面白いです。話の展開はある程度の想像がつくものの、それでも一気読みしてしまうような不思議な魅力があります。

実際にある「マインドコントロール」にも似た手法で場を支配する様子も描かれていて、それに抗うことの難しさが残酷に描かれていると言っていいでしょう。主人公がスーパーマンじゃないのもいいですね。全7巻なので一気読みも可。

漂流ネットカフェ 第1巻

夜回り先生(全9巻)

不登校、ドラッグ、リストカット…。闇に飲み込まれていく子供たちを、哀しい目で、優しい目で、見守り続ける教師がいる。全国が涙した感動ドキュメント、ここに初の完全漫画化!病気の母親を支えようと、コンビニで捨てる弁当や、余った給食をもらって回っていたマサシ少年。健気でマジメだった少年は、いつしか隣に住んでいた暴走族のお兄ちゃんの真似事をし始めて、マジメにドラッグを使い、マジメに壊れていった。そんな少年を夜の公園で見かけた夜回り先生は、ラーメン屋のバイトを紹介するなどして、必死に彼を立ち直らせるべく向かい合う…。

端的に例えるなら、すごくダークな世界観をもったGTOっぽい作品ですかね。「非行に走ってしまう少年少女の置かれている境遇」なんかを、否定的な観点から見ずに温かく見守ろうとする先生の物語です。

世界観は非常に暗く、主に「これまで育ってきた環境に何かしらの問題を抱えていた子供たち」にスポットを当て、そんな子供たちと接する夜回り先生の姿がドラマチックに描かれています。1話1話がオムニバス形式のようになっているので、非常に読みやすい作品だと思いました。

夜回り先生 第1巻

17歳。(全4巻)

被害者は17歳だった。加害者も17歳だった。なぜ事件は起きたのか?なぜ誰も防げなかったのか?<命の意味>を問い掛ける衝撃の問題作!!

少年法に守られた凶悪犯が出るたびに「少年法を改正しろ!」という声があげられますが、個人的にもそれには大賛成です。被害者の方やその遺族の方の気持ちを思うと、一刻も早く見直すべきと思っています。

本作に描かれているのはタイトルからは想像できないほどのおぞましい事件です。フィクションだとは思いますが、少年たちが引き起こした凶悪な事件に似たようなものがあったと記憶しています。最後の最後まで胸くそが悪くなる作品ですが、本作を読んだら「少年法って必要?」と疑問に思うはず。

17歳。 第1巻

うなぎ鬼(全3巻)

借金に苦しんでいた倉見勝は千脇に拾われ裏稼業に励むことに。勝に課せられた任務は重さが50~60キロのコンテナをマルヨシ水産に運ぶというものだった。コンテナの中身とは一体…サイコホラー!

裏家業の道へ進んだ1人の男が「中身の分からないコンテナを鰻の養殖場に運ぶ」ことを社長に命じられ、箱の中身について色々と詮索してしまうという物語です。

早い話が「今、俺が運んでるこのコンテナの中身って、生きていない人が入っているんじゃ…?」という物語なんですけど、読者の不安感の煽り方がかなり上手い作品だと思いました。真相はもちろんですが、最後の最後まで気が抜けない展開も魅力的です。いたずらにグロ描写も出てきたりしないので「ホラーは好きだけどグロいのは嫌だ!」という人にもおすすめです。

関連:サスペンスホラー「うなぎ鬼」の魅力をネタバレ無しで語る

最後に

時には目を背けたくなってしまうようなスリルのある描写や、ダークな世界観を楽しめるマンガは数少ないと思います。ただ、誰しも「怖いもの見たさ」という欲求は少なからず持っているのではないでしょうか。

その反面、犯罪に関しての情報は隔離される社会なので、普通に「勉強になる」部分もあるんですよね。バカにできないくらいの情報が得られるものも少なくありません。もし気になった漫画があったと言う方はぜひ手に取ってみてください。

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