給湯器の業者間の金額の違い|なぜ大きい価格差があるのか

給湯器の業者間の金額の違い|なぜ大きい価格差があるのか

給湯器は10年くらいのサイクルで買い替えることになるケースが非常に多いですが、意外と「給湯器の正しい価格相場」については知られていません。もともと住宅設備の多くはカタログに掲載されている金額が全くアテにならないので、なかなか価格相場を知る機会がないというのも関係していると思います。

ただ、色んな業者から見積もりを複数もらうと「なんでこんなに金額の差があるの?」と驚くこともあるでしょう。業者Aが30万円を提示した一方で、業者Bが全く同じ機種を20万円で提示するということがザラにあります。

これは悪徳業者とか優良業者という簡単な言葉で括れない、ちょっとした事情があるんです。というわけで今回は、給湯器の業者間の金額の違いについてご紹介します。

目次

給湯器の本体価格やグレードの違い

グレード、レビュー

業者によって後継機種の選び方に差が出るケースもあるので、まずは給湯器本体の高い機種と安い機種の何が違うのかについて、簡単にご説明したいと思います。給湯器本体の価格差があるのは主に以下の項目についてです。

  • 給湯器の機能(ふろ機能の有無、暖房機能の有無)
  • 給湯器の燃焼能力
  • 給湯器のお湯張り機能の有無
  • エコ型か従来型か

給湯器の機能

給湯器と一口に言っても、様々な能力を持った機種が存在します。本来、給湯器と言われれば給湯機能があれば十分なのですが、最近はもう追い炊き機能やお湯張り機能が付いていて当たり前という認識になっていますし、暖房機能を持つ給湯器のシェアもかなり増えてきました。

当然ながら多機能なほど、給湯器本体の価格も高くなります。給湯専用機よりもふろ機能付きの方が高く、ふろ機能に更に暖房機能が付くとメーカー希望小売価格で50万円を超えるものも珍しくありません。

給湯器の燃焼能力の違い

  • ガス給湯器:24号、20号、16号
  • 石油給湯器:4万キロ、3万キロ

ガス給湯器には号数、石油給湯器にはカロリーの概念があり、数字が高ければ高いほど燃焼能力も高く、これに比例して本体価格も高くなります。ガス給湯器の場合、24号と16号を比較するとそれなりの価格差が生まれますが、石油給湯器の4万キロと3万キロにはそこまでの価格差がありません。

そしてガス給湯器の場合は単身用として16号、2人暮らしで20号という基準を給湯器メーカーが推奨しているため、石油給湯器からガス給湯器に乗り換える場合などの機種選定で、施工業者によって差が出ることがあります。

実際には4人家族で16号の給湯器を使用しているユーザーもたくさんいます。「2箇所以上で同時にお湯を使う頻度や重なる時間」によって選定するのがベストです。4人家族でも同時にお湯を使うことがないなら、16号を選んでも問題ありません。

給湯器のお湯張り機能の有無

  • ガス給湯器:フルオート or オート
  • 石油給湯器:フルオート or オート or 標準

ガス給湯器にはフルオートとオートの違いがあり、石油給湯器には更に標準タイプというものが存在します。オート以上はお湯張り機能があって、細かい部分に差が設けられているという感じですが、標準タイプはお湯張り機能がないので全くの別物と言っていいでしょう。

お湯張り機能の有無では価格差が大きく開きます。フルオートかオートで悩むことはあまりないように思いますが(悩むことはあっても後悔しにくい)、オートと標準タイプの間には大きな壁があり、慎重に検討することが重要です。

エコ型(エコジョーズ、エコフィール)か従来型か

  • 高効率型ガス給湯器(エコジョーズ):2000年に初登場
  • 高効率型石油給湯器(エコフィール):2006年に初登場

今ではガス給湯器を採用するほとんどの家庭が、エコジョーズを採用しているのではないかと思います。燃費の良さ、ランニングコストの良さを売りにしている給湯器なので、ちょっとでもガス代・灯油代を抑えたいという人はエコ型給湯器を選ぶ傾向が強いです。

しかし本体価格はエコ型給湯器の方が高く、最初から最後までエコ型給湯器の方が安いというわけではありません。「最初に高いお金を払った分、長く使えば長く使うほど徐々にお得感が増えていく」という感じです。

施工業者によって給湯器交換の金額が大きく違う理由

上で説明してきたように、製品が違えば金額も変わるというのは当たり前のことです。しかし「製品自体は同じでも取付完了後の金額には業者ごとで随分と差が生まれる」ということもあります。

それも数千円単位ではなく、数万円単位で変わることも珍しくないですし、酷いときには10万円近い金額差が出ることもあるでしょう。その理由について以下で詳しく説明します。

業者によって給湯器本体の仕入れ値が違う

業者の持ってるチカラの大きさやメーカーとの親密さなどによって、給湯器本体の仕入れ値が大きく変わります。「業者Aが20万円ほどで仕入れたボイラーを、業者Bは15万円で仕入れている」ということも珍しくありません。

仕入れ値の段階で5万円もの差が付いているのであれば、ほとんどの場合でBの方が安くなります。それがそのまま売値に反映しているというのが、業者間で金額差が生まれている大きな理由の一つと言えるでしょう。

どういう仕事をするかによって違う

  • 配管の保温材は巻き直すのか
  • 凍結予防ヒーターや排気カバー、配管カバーなどの部材は新調するのか
  • 保証を付けるのかどうか

給湯器の施工方法は、100人の人間がいれば100人全員が違うやり方になると言っても過言ではないくらい、施工方法に幅があります。後継機種とは言っても同じ機種じゃない限りは、配管の接続位置が変わることも多いですし、その際に配管をどこまで手直しするかは担当者次第です。

そして配管に保温材を巻いている場合、その保温材を新しくするかどうかによっても部材費が変わってきます。給湯器を交換する際、排気筒やガス可とう管などの絶対に交換しなければならない部材以外は、担当者の判断に委ねられていると言っていいでしょう。

部材費を抑えるためにすべて再利用するという担当者もいれば、売り上げのために全部変えるという担当者もいます。この辺はユーザーの考えとマッチするかどうかで優劣が決まると思うので、工事前の見積もり確認の段階で判断することが重要です。

売る気があるかどうかによって違う

冬場はどの施工業者も忙しくなるので、「仮にウチから買ってもらっても近日中の取付は難しい」というケースがでてきます。少しでも儲けたい業者は多少の無理はするでしょうが、忙しすぎる場合は「取付業者側に売る気がないだけ」かもしれません。

あまり大声では言えませんが、私は過去に何度もクレームを付けてきてブラックリスト入りしているお客さんに対し、値引きをせずに見積もりをして、更には安く仕事をしてくれる水道業者さんの紹介までしたことがあります。業者によっては、意外と「セールスしたいと思っていないケースもある」ので注意しましょう。

儲けを取るかどうかによって違う

単純に「儲けたい」と考えたら、高い金額で出します。嫌な話をしますが「ウチ以外に頼めそうな業者がなさそう」とか「色々言って丸め込めそう」とか「今後あまり面倒を見たくない」とか「お金持ってそうな人には高く見積もる場合もあったりなかったり・・・。

あとは「もうちょっと金額を安くできませんか?」などの交渉をされることを予測しておいて、最初に高く言っておくという場合もあります。

給湯器の業者間の金額の違い まとめ

  • 何の機種を後継機種として選択するかによって価格差は大きく変わる
  • 給湯器本体の仕入れ値によって、販売価格にも差が生まれる
  • 取付作業のときに「どこまで手をかけるか」もポイント
  • そもそも価格競争に前向きじゃない業者もいる

そんなに頻繁に交換するものでもありませんが、給湯器が壊れてしまうと精神的な余裕がなくなってしまいます。「とにかくお湯が使いたい」とか「とにかくお風呂に入りたい」という気持ちが先行してしまい、悪徳業者あまり良心的ではない設置業者に頼んでしまうことで、損をしてしまうことも少なくないのではないでしょうか。

給湯器は大切な家庭用設備なので、使用してから7年ほど経過している場合は少しずつ情報を集めておいたほうがいいかもしれません。少なくとも「お湯が使いたかったから急いで契約しちゃったけど、後々調べたら他に安い業者がいくらでもあった!」となってしまうと、両者ともに遺恨を残す形になってしまうので注意しましょう。

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