私には「自分に興味のないジャンルの漫画は、なかなか読まず嫌いで手を出せない」という悪い癖があります。F1レースもそうです。セナとシューマッハくらいしか知りませんでしたし、全く興味がありませんでした。
「どんなに面白いって言ったってカーレースでしょ?」と思っていたのですが、あまりにも友人が面白いというので読んでみたら、ものの見事にハマってしまった作品が「Capeta」です。
もし私と同じく読まず嫌いをしている人がいたら、最初だけでも読んでみて欲しいんですよね。よく「最初はイマイチだけど徐々に~」みたいなマンガがありますけど、本作の引き込まれ方は異常です。音速の如く、一気に引き込まれてしまうでしょう。
というわけで今回は、熱闘レーシングロマン「Capeta(全32巻)」をご紹介したいと思います。
少年期
始まりは父親の手作りカート
コミックス2巻
タイトルの由来は平 勝平太という主人公の名前から取ってカペタです。
父子家庭に育ったカペタを喜ばせたい一心で、父親が職場で廃棄する材料を集めてカートを作ってくれたのが始まりでした。エンジンがなかなか手に入らず、社長が譲ってくれた発電機をバラしてまで作ったマシンは、言葉を選ばずに言うと欠陥車だったんですよね。
寄せ集めの材料で作ったということもあり、右の前輪が浮いていてどうしてもスピンしてしまうマシン…。カート場のおじさんが代わりのカートを貸してくれると言っても、なかなか降りないカペタ。
コミックス2巻
その後は自分なりに調整しながら、自分だけのマシンを見事に乗りこなします。カペタの才能と優しさが垣間見えた瞬間でした。ただ、発電機用のエンジンということもあって、周りのカートたちには直線のスピードで全く敵いません。
それをコーナーリングのテクニックで見事にカバーするんですよ。「どうすれば直線を速く走れるか」という考えは、走りながら「どうすればコーナーの減速を無くせるか」という考えにシフトしていくんですよね。決して「エンジンが悪いから」とか言わないんです。
社長さんが譲ってくれたエンジンを使って、お父さんが作ってくれたカート…。自分にとって最高のマシンで、周りのマシンに勝ちたい一心だったんでしょう。
みなさんもこういう経験ないですか?「自分の大切な人がくれたものは、すごく大切にしたい」という想いは、純粋すぎて感動を覚えます。こんなの自分の子供にされたら泣いちゃいますよ。…子供いないけど。
初レースで大幅に進化
コミックス3巻
初レースでは正規のエンジンを積んで参加したものの、普段は発電機エンジンで練習していることもあり、制御できずに派手にクラッシュしてしまいます。
その様子を見ていた周りの子供たちに笑われたカペタのことを、自分のことのように怒ってくれる友達がいて「壊れたら何度でも直してやる!」と言ってくれる父親がいて…。とにかく熱い!そして絆に溢れている物語です。
その後は自分なりに一生懸命考え、「エンジンが変わっても、いつも通りの成果を発揮する」ということを念頭に、マシンと会話しながら自分の走り方を模索していくカペタの姿は、読者のほとんどが応援してしまうはず。
「マシンは熱くていい、ドライバーは冷たくなって戦うんだ!」は明言。
コミックス5巻
決勝では上位2名がタッグを組んでいるようなカタチで、1人が犠牲になって追い上げてくるカペタをブロックするという戦略を使ってきます。私は実際のカートレースに関する知識が全くないのですが、実際にもこういうのがあるんですかね。
「どうやって打破するんだろうか?」と思っていたら、すごくカッコイイ方法で打破していました。「どうせ第3のラインとか使うんでしょ?」とか思っていた自分を殴ってやりたい。ここまで読んだらもう止まりません。「カペタどうなんの!?」って感じで、際限なく読み続けてしまうでしょう。
あ、それから。スタートが下手なカペタですが、それについて何かを思う父親のシーンが印象的です。たぶん子を持つ親なら涙せずにはいられないと思います。私もウルっときてしまいました。…子供いないけど。
青年期
ライバルの存在
コミックス6巻
気が付いたら少年から青年になっていたカペタ。少年期はコミックス5巻までで、6巻からは青年期に突入します。面影を残しつつ成長していたカペタでしたが、背丈以上に少年期に出会ったライバルの存在が強大になっていて、自身の思いを吐露し始めます。
レースと言うのはお金が掛かるようで、ファンからの募金や地元商店街にスポンサーになってもらってやりくりしているようですが、カペタの中でも「ずっと走り続けるわけにはいかない」と思っていたようですね。
「レースに出たい<アイツと走りたい」という男としての意地が垣間見えます。
コミックス6巻
そのライバルも「やたらお金や境遇に恵まれているいけ好かない奴」というのではなく、勝負に関しては徹底している人間というのがいいんですよね。ちょっとした腹立たしさ、ふてぶてしさはありますが、誰よりも自分に厳しく、決して妥協しない真っ直ぐさを持ったライバルです。
カペタと比べると優遇されていることは間違いありません。しかし、ただのボンボンではありませんし、読者を炊き付けるような嫌な奴でもないんですよ。そんな彼もカペタのことを一目置いている節があり、この2人の行く末が本当に気になります。
背水の陣で臨んだレースの結果は…
コミックス8巻
マシンがもう限界で、最後に1レースしか走れないという状況の中。ライバルと戦うために本来のレースを棄権するか、本来のレースでなんとしても勝ってスポンサーを獲得することに賭けるか。
マシンの性能差を埋めるために雨が期待されたものの、降水確率は10%。普通のマンガだったら「どうせ雨が降って、主人公が優勝するんでしょ?そんで運よくスポンサーがついてライバルと戦えるようになるんでしょ?」って思うじゃないですか?
その辺もCapetaは違うんです。結果も気になるし、その過程がメチャクチャ面白い!シナリオはもちろん、見開きページの迫力とか、セリフがないコマからも大きな衝動を感じます。電子書籍だといいけど、紙媒体の本だったら汗でベチャベチャになっちゃうくらい興奮するかも。
熱い友情
コミックス8巻
レースはドライバーの腕だけで勝つことはできず、当然ながらマシンの性能やメカニックの腕、メンテナンスなども重要になってきます。カペタは友人や父親、父親の会社の社長など多くの人の支えがあって走ることができていますが、お世辞にもそのバックサポートは充実しているとは言えません。
そんなとき、自分の為だけでなくみんなの為にも結果を出そうと燃えるカペタを支えているのは、間違いなく友人です。彼無しでは物語は成立しないと思えるほど、とにかく友人も熱いんですよね。
レーサーって孤独かと思ってましたが、そうじゃないんだと気付かされました。カペタが「2人ならアイツに勝てる」って思うのも、何となくわかります。この物語、マジで熱いですよ。
最後に
コミックス12巻
波乱続きではありますが、カペタはどんどん成長し、同時に多くの困難に襲われます。今後、どのような軌跡を辿るのかはご自身の目でご確認ください。
読んだことがないという人は、とりあえず最初の5巻(少年期)だけでも読んでみてはいかがでしょうか?ここまで書いてきたので伝わっているかと思いますが、Capetaメッチャ面白いよ。