私は生活設備を修理する仕事に携わっています。最近はオール電化の家が増えてきたとはいえ、まだまだガスコンロを使用している世帯のほうが圧倒的に多いです。
そのガスコンロの修理に関してなのですが、「修理依頼をもらって訪問してみたら、実際は故障じゃない場合」というのが意外と少なくありません。修理業者は呼ぶだけで数千円掛かりますので、自分で簡単に解決できるものであれば解決したいですよね?
というわけで今回は「ガスコンロが故障したかもしれないと思ったときに、業者を手配する前にチェックしておきたいこと」について書いていきたいと思います。
火が付かないバーナーの箇所、種類に注目する
最近のガスコンロは3口タイプか2口タイプがメインです。一口にガスコンロが点火しないと言っても「全部のバーナーで火が付かない」というのと「右バーナーは付くけど左バーナーが付かない」というのは、同じ「火が付かない」という症状でも内容は大きく異なるのが分かりますよね?
あと「一気に全バーナーが付かなくなった」のと「最初は右だけが付かなくなって、騙し騙し使ってたら遂に左も付かなくなって今では全部付かない」というのも意味合いが変わってくるので注意してください。
以下では最初に「全部が付かないパターン」を、次に「特定の部分だけが付かないパターン」を解説していきます。
全部のバーナーで火がつかないという場合
ガスの元栓は開いているかどうか
当たり前ですが燃料が来ていなければ火は付きません。まずは元栓が開いているかどうかの確認をしましょう。もしガス給湯器などがある場合は、そっちは問題なく動くことを確認することでコンロの問題だとハッキリさせることができます。
「ガスコンロも使えないけどガス給湯器も点火しない」という場合だとガスコンロの不具合ではなく、そもそもガスがどこかで遮断されている可能性も出てきます。自分以外のご家族がガスの元栓を閉じていたという初歩的なものから、ガスメーターがエラーを出していないかも確認してみてください。
ガスメーター(マイコンメーターのチェック方法)
多くのご家庭でお家の外にはライフラインのメーターが設置されています。そのうちの一つがガスメーターで、これがエラーを出しているせいでお家の中までガスが来ていないというケースが少なくありません。
エラーを出す要因には色々なものが考えられますがエラーが出ているのであれば復帰させてみて、再度エラーが出るようであればガス会社に連絡することをおすすめします。
スパーク(カチカチ音、パチパチ音、チチチ音)がするかどうか
全バーナーで火花が飛んでいない→電池残量は問題ないか、電池ボックスに不備はないか
燃料がきていても着火源がないと火はつきません。元栓が開いているのを確認したら、今度は点火スイッチを押して、上記画像のオレンジの丸の部分に火花が飛んでいるかどうかを確認します。
火花が飛んでいない場合は電池を交換してみてください。ビルトインコンロの一部に電池ではなくコンセントから電源をもらって動くタイプの製品もありますが、その場合はブレーカーを確認してみてください。
よくあるのは100均で買った電池で点火しないパターンです。物によって相性があるのか何なのか、テスターで測定してしっかり電圧があるのにも関わらず、なぜかスパークしないというケースをよく見ます。
あとは電池ボックスに遊びがあって、しっかり密着していないケースも多いですね。この場合は電池ボックスを手で押した状態で点火動作をしてみて、どうなるのかをチェックしてみましょう。
電池を交換したのにすべての口がスパークしないのであれば、スパーカー(点火器)や基盤、電源系統の不具合が考えられるのでこの場合は修理が必要です。
スパークしているけど火が付かない
ガスはちゃんと来ていて火花は飛んでいる→電磁弁が開いていない
元栓は開いていてガスコンロまでちゃんとガスはきてて、スパークもしているのに着火しない場合は、ガスコンロ内の電磁弁が開いてない可能性が高いのでこれも修理が必要です。
その場合は何度点火ボタンを押してもガスの出ている気配(ニオイや音)が一切しないので、わかりやすいと思います。
一部のバーナーで火がつかないという場合
スパークするかどうか
一部バーナーで火花が飛んでいない→ごみの付着がないか、バーナーキャップはしっかり装着されているか
火の付かない箇所だけスパークしていないという場合は「オレンジの丸の部分にゴミなどがこびりついていないか」「赤い丸で囲んだ部分のバーナキャップが傾いたりしていないか」をチェックしてください。
その両方に問題がなければ点火プラグなどの不具合が考えられるので、修理あるいはプロによる調整が必要です。ちなみにこの場合はオレンジの丸の部分にチャッカマンの火を近付けた状態で、コンロの点火ボタンを押すと普通に使用できます(取り扱いは十分に注意してください)。
スパークしているけど火が付かない
火花は飛んでいるが付かないバーナーがある→ノズル詰まりなど
ガスコンロまではガスがちゃんと来ていて、スパークしているのに一部のバーナーだけが点火しないという場合、最も使用頻度の高い部分が付かないのだとすればノズルが詰まっている可能性があります。ノズルの交換、あるいは掃除などの調整が必要です。
ノズルが正常だったとしても「その箇所だけガスが遮断されている」というケースが高く、いずれにしてもプロによる点検・修理が必要です。
一旦、火は付くけど手を放すと消える
手で点火スイッチを押している間は火がついているけど、手を放すと火が消えてしまうという場合は黄色い丸で囲んだ部品にちゃんと火が当たっているかどうかを確認してください。この部分だけ過去の煮こぼれが邪魔をして火が当たっていないなどの状況であれば、赤い丸で囲んだ部分のキャップを掃除することで改善する可能性が高いです。
ただし使用頻度が高いバーナーだけこの症状になるという場合は、ガス通路部を開いたまま保持する部品が故障している可能性が高いため、これもプロによる点検を依頼してください。
魚焼きグリルだけつかない
魚焼きグリルだけつかない→グリルの劣化、ノズル詰まり
ガスコンロの魚焼きグリルは一番劣化が出やすい部分です。ガスコンロの危機寿命は約8年前後と言われていますが、魚焼きグリルに関しては毎日使用していると5年以下で故障してしまう可能性が高いので注意が必要です。
特に庫内のガスの噴出口(ハチの巣のような形状)がボロボロになっているような場合、ガスが正常に噴射されていない可能性が高く、この場合はグリル部分をまるっと交換する必要があります。単純にグリル部分だけのノズルが詰まっているなら、プロによる簡単な調整で直るでしょう。
グリル部分を丸ごと交換するとなると安くても2万円前後の費用が掛かる可能性が高いため、魚を食べる頻度が高いご家庭ではフィッシュロースター等を併用することで、ガスコンロのグリルに掛かる負担を軽減することができます。
最後に
ガスコンロが付かなくなった場合、まずは電池切れと燃料、手入れ不足を疑いましょう。以前に吹きこぼしてしまった汚れが原因で故障してしまい、掃除料金が2000円で出張料が2000円とかだったら嫌だという人が多いと思います。
そうならないためにも、修理依頼する前に確認できる部分については確認しておくことをおすすめします。